研究概要 |
(1)電位依存性Caチャネルと同様に4ドメイン型電位依存性チャネルである、電位依存性Naチャネルに関しても、同様な分子機構が存在する可能性があり、実際、発生過程で発現するNav1.6スプライスバリアント由来の分子(I-IIshort)は、完全長型Naチャネルの機能を強く抑制することを見出していた。そこで、哺乳類において4種類知られている電位依存性Naチャネルのそれぞれと、I-IIshortをツメガエル卵母細胞に共発現させ、電流抑制の程度を検定した。その結果、domain I-IIからのみなる不完全長型分子は、全長型分子の発現を顕著に抑制した。Nav1.6の不完全長型分子は、Nav1.1,Nav1.2,Nav1.4,Nav1.5すべてにおいて同様な抑制を示し、サブタイプ特異的ではなかった。一方、電位依存性チャネルであるshaker型Kチャネルに対しては抑制効果をまったく示さず、Naチャネル特異的であった。最近、重症幼児ミオクローニーてんかんの原因遺伝子としてヒトNav1.1が注目され、Nav1.1のdomain IIの直後でストップコドンが入るために、domain I-IIのみの蛋白が発現する家系が報告された。これらの病態の原因として、不完全長蛋白による抑制が起こるかどうかを検討するため、ヒトNav1.1をtsA201細胞に機能発現させた。 (2)前年度ドメインIとN末端側を欠失したCaチャネル分子はサブタイプ特異的な抑制を示すことから、膜貫通部位領域の特定の部位での相互作用を同定する目的で、二種類のCavチャネル分子、Cav1とCav2の間の複数のキメラ分子を用い、これにタグ配列を導入したコンストラクトを作成した。
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