研究課題/領域番号 |
14370018
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境生理学(含体力医学・栄養生理学)
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
橋本 眞明 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (30156294)
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研究分担者 |
大日向 浩 旭川医科大学, 医学部, 助手 (20233257)
内海 計 旭川医科大学, 医学部, 助手 (90271759)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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キーワード | 冬眠 / エネルギー代謝 / 低体温 / 寒冷適応 / 遺伝子発現 |
研究概要 |
冬眠動物は冬眠期間中いわゆる冬眠(低体温)状態と中途覚醒(常体温)状態を繰り返す。冬眠の各相でハムスターの褐色脂肪組織(BAT)の遺伝子発現を解析した結果、脱共役タンパク質とそのファミリーのmRNAは冬眠の各相を通じ大きな変化がないが、夏期覚醒動物と比べると数倍の発現量を示すことを確認。冬眠期間を通じ、寒冷馴化動物として高いBAT熱産性能の維持を示すものと考えられる。しかし、冬眠中には新規のmRNAやタンパク質合成がないことを確認したので、冬眠中に高いレベルを示す物質は、中途覚醒中に生産されたものと推定された。また、BATエネルギー代謝と協調的に変化するBATへの血液供給がこれまで不変とされた一酸化窒素合成酵素(eNOS)の変化を通じて制御されていることを明らかにした。BAT熱産生は寒冷ストレスのみならず、拘束ストレスによっても上昇する。ストレスが反復的に加わると、適応が起こり、熱産生機能に変化が生ずる。この機構にUCP1発現量制御が関係し、副腎皮質ホルモンがそれを変調する事がわかった。冬眠からの覚醒時には、脳が一過性に過度の血流負荷と酸化ストレスにさらされる可能性が高いことを明らかにし、抗酸化防御機能の存在が示唆された。一方、物質測定テレメトリー装置作成を目指し電気化学測定用電極の試作を進めた。体内留置電極は特定物質に対する酵素が冬眠中の低体温下では機能低下し、信号雑音比が悪く信頼できる結果を得られない事がわかった。そこで微量透析法により細胞外液を採取し、作成した電極を室温下で用い、十分な測定精度.・感度を確保した。冬眠中のハムスターから採取できる微量サンプル中の複数の物質を同時に測定可能な測定系を確立し脳内のブドウ糖、アスコルビン酸の同時測定を可能にした。上述の血流動態関連パラメーターや物質的変化が冬眠行動の予測につながるものか否か、今後の検討課題となる。
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