研究分担者 |
下川 哲昭 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (90235680)
岩崎 俊晴 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (80375576)
神宮 久香 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (30292585)
竹下 章 沖中記念成人病研究所, 研究員 (20322646)
岡田 淳一 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (80152304)
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研究概要 |
甲状腺ホルモン(TH)は中枢神経系の正常な発達のために不可欠である。THは特定の臨界期のみ中枢神経系に作用する。本研究はげっ歯類小脳を用いて中枢神経系発達に及ぼすTHの作用機構を解明する事を目的としている。 TH受容体(TR)発現は発達につれ増加するので,臨界期以降のTH感受性低下には別の機構が関与する可能性が高い。我々は、中枢神経系で強く発現するTRの転写共役因子のSRC-1の関与を調べている。昨年度,ラット小脳ではSRC-1はプルキンエ細胞に強く発現し、内顆粒層にも発現している事がわかった。本年度,ウエスタンブロットにより解析を進めたところ,TH作用が最も強くなる生後14日目にSRC-1タンパクレベルでは最も多量に発現しており,従来のmRNAレベルの定量結果と異なる事がわかった。また,行動レベルでも種々の異常が生ずることがわかった。 同時に,発達期小脳におけるTR結合蛋白としてpositive cloneを採取しの解析を進めた。その結果,ovarian cancer overexpressed(OVCOV)-1遺伝子とアミノ酸配列が一致した。OVCOV-1は,全長365アミノ酸で,核内ホルモン受容体結合領域であるLXXLLモチーフを3つ含む。 また,臨界期に環境ホルモン等によりTHの作用が撹乱された場合,脳発達に影響が出る事が知られている。そこで,レポータージーンアッセイを用いてTRによる転写調節への内分泌撹乱物質の作用を調べた。そして,低用量のPCBがTRを介する転写を抑制する事がわかった。抑制を生ずるメカニズムについて調べたところ,抑制作用は従来の転写制御メカニズムとは全く異なり,PCBがTRをDNA上のTH応答配列から一部解離させている事がわかった。
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