研究概要 |
本研究では、一過性の高強度インターバル運動後のPVおよび血漿蛋白量の変化を若年者と高齢者で比較した。また、サプリメント摂取が血漿蛋白量とPVを増加させるか否かを検討した。 被検者は、健常な若年(Y群、21±1歳(mean±SE))および高齢男性(O群、68±2歳)各8人とした。各被検者は実験前日の夕食、運動負荷当日の3食、さらに翌日朝食は体重当たり一定の栄養成分の食事を摂取させた。運動負荷当は10:00の朝食後、1時間の座位安静の後PVの初期値を測定を行った。続いて11:30に、72分間の高強度インターバル運動(80%VO_<2peak>4分間の自転車エルゴメータ運動を20%VO_2peak5分間の運動を挟んで8セット)の直後に、蛋白質・糖質サプリメント(CHO-pro;総熱量、3.1kcal/kg;総蛋白量、0.18g/kg)あるいはプラセボ(Placebo;総熱量、0.5kcal/kg;総蛋白量、0.00g/kg)を摂取する2条件で行った。その後、5時間の安静座位の後17:00に帰宅させた。翌日7:00に実験室にて朝食を摂取後、約3時間安静座位を保たせ、10:00に採血を行い、運動前値に対するPV(ΔPV)および血漿総蛋白変化量(ΔTP_<cont>)変化量を測定した。 ΔTP_<cont>は、placebo摂取群で、Y群、O群でそれぞれ、-36.9±25.0、-60,6±16.4mg/kgであったが、CHO-pro摂取群では55.5±31.3、9.6±9.9mg/kgであり、Y群、O群共に有意に増加した。この際、ΔTP_<cont>は、サプリメント摂取の有無に関わらず、O群はY群に比べて有意に低値を示した。ΔPVは、placebo摂取群ではY群、O群でそれぞれ、0.36±0.20、0.45±0.42ml/kgであったが、CHO-pro摂取群では1.35±0.62、2.03±0.31ml/kgであり、Y群、O群共有意に増加した。 以上の結果から、高齢者では若年者に比べ運動後の血漿蛋白質量および血漿量増加機能が減弱していること、さらに、運動直後の糖質蛋白質サプリメント摂取は、若年者、高齢者両群において、これらの機能を改善することが明らかとなった。
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