高齢者の運動トレーニングによる血漿蛋白質増加機構と血液量・体温調節能への効果

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14370021
• 研究機関: 信州大学
• 研究代表者: 能勢 博 信州大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40128715)
• 研究分担者: 土居 達也 大塚製薬(株), 研究員 ; 柳平 坦徳 信州大学, 大学院・医学研究科, 講師 (10020760)
• キーワード: 高齢者 / 蛋白質サプリメント / 血漿量 / 体温調節能 / 耐久性トレーニング

研究概要

前年度の研究によって、高齢者では若年者に比べ運動後の血漿蛋白質量および血漿量増加機構が減弱していること、さらに、運動直後の糖質蛋白質サプリメント摂取は、若年者、高齢者両群において、これらの機能を改善することを明らかにした。
そこで、今年度はこれらの研究結果を踏まえ、実際に持久性運動トレーニングを行った際、サプリメント摂取群では非摂取群に比べ血液量の増加が亢進しているか、もし、亢進している場合、それは好気的運動能、体温調節能をより改善するのに役だっているか、の2点について検討した。
健常な高齢男性を対象とし、それを糖質蛋白質サプリメント摂取群(n=8)と非摂取群(n=8)の2群に分け、それぞれ8週間の持久性運動トレーニング(最大酸素摂取量の60〜75%の運動強度で60分間を、3回/週、計24回)を行わせた。毎回の運動直後にサプリメントあるいはプラセボを摂取させた。トレーニング前後に血液量(Evans Blue希釈法)、下肢骨格筋量(MRI法)、最大酸素摂取量、および気温30℃の環境下において、最大酸素摂取量の60%の運動強度で20分間の自転車こぎ運動を行った際の体温調節能を測定した。その際、運動中の心拍出量(ICG法)を測定した。
その結果、蛋白質・糖質サプリメント摂取群はプラセぼ摂取群に比べて、持久性トレーニング後に血液量、下肢骨格筋量の増加が亢進し、それらと共に最大酸素摂取量、体温調節能の増加も亢進した。

研究成果

• [文献書誌] K.Okazaki et al.: "Effects of exercise training on thermoregulatory and blood volume in older men"J.Appl.Physiol.. 93. 1630-1637 (2002)
• [文献書誌] S.Iwashita et al.: "Triaxial accelerometry to Evaluate Walking Efficiency in older subjects"Med.Sci.in Sports and Exer.. 35. 1766-1772 (2003)
• [文献書誌] K.Okazaki et al.: "Protein & CHO intake after a bout of intense exercise increased plasma volume and protein content in younger and older men"The FASEB J,. 17. A943 (2003)
• [文献書誌] K.Okazaki et al.: "The mechainsms for improring thermoregulation by exercise training in older men & their application to development of nutritional supplement"Jpn.J.physiol.. 53. S85 (2003)
• [文献書誌] K.Okazaki et al.: "Effects of protein & CHO supplement after a bout of exercise on plasma volume and protein content in younger and older men"Jpn.J.physiol.. 53. S305 (2003)
• [文献書誌] K.Okazaki et al.: "Protein & CHO supplementation during aerobic training increased plasma volume and thormorogulatory capacity in older men"The FASEB J.. (in press). (2004)
• [文献書誌] Nose H, et al.: "Exercise, Nutrition, and Environmental Stress (Vol.3)"Coopor Publishings. 283 (2003)