研究課題
基盤研究(B)
本研究では、高張食塩水の脳室内投与に対する反応を指標に脳内メカニズムの解明を目指し、多面的アプローチ(免疫組織化学的、神経化学的、電気生理学的方法)で、in vivo実験並びにin vitro実験を行った。・免疫組織化学的方法:自由行動・意識下ラットの側脳室へ高張食塩水を注入し、まず脳内活性部位をc-Fos様免疫組織活性により明らかにした:投与濃度に依存して、血圧・心拍数が増加し、終板器官、正中中心核、視床下部室傍核、視索上核、最後野において活性増加が認められたが、脳弓下器官では変化がなかった。次に、内因性バゾプレッシンの関与を調べるため、バゾプレッシン受容体V1アンタゴニストの前処置(静脈内)を行った。高張食塩水投与による血圧・心拍数増加反応と共に、視床下部室傍核のc-Fos様免疫組織活性が減弱した。これより視床下部室傍核の内因性バゾプレッシン系が上記反応への少なくとも一部に関わっていることが示唆された。・神経化学的方法:次にin vivo microdialysisのプローブ法を用いて、直接PVN局部を高張食塩水で潅流し、血圧・心拍数と共に、潅流液中の神経伝達物質の動態を調べた。血圧・心拍数の増加に伴って、一酸化窒素(NO)の代謝産物(NO^<-2>_x)が増加した。これらの拮抗剤(L-NMMA)の前処置により、高張食塩水による上記変化は減弱した。従って、PVNにおけるNO系が食塩負荷による心血管系応答に関わっていることが示唆された。・電気生理学的方法:PVNの単一神経活動が絶水あるいは飲水行動に如何に応答するかを調べた。このために微少可動式マニプレーター並びに金属電極の自動絶縁装置を作成し、用いた。自発活動パターン、血圧の変動、空気暴露、コレシストキニン静注に対する応答から、推定されたバゾプレッシン分泌ニューロンは絶水で間欠型発火頻度の増加が見られ、水の摂取により抑制された。さらに脳スライス標本を用いてパッチクランプ法でPVNニューロンの浸透圧感受性機構を調べた。伸展により不活性化される非選択的陽イオンとグルタミン性興奮シナップスを介することが明らかとなった。
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