研究課題/領域番号 |
14370027
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
谷内 一彦 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50192787)
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研究分担者 |
倉増 敦朗 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (90302091)
田代 学 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00333477)
渡邊 建彦 東北大学, 名誉教授 (70028356)
岡村 信行 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (40361076)
石渡 喜一 東京都老人総合研究所, 主任研究員 (50143037)
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キーワード | ヒスタミン / オレキシン / activity stress / PET / 神経性食欲低下症 / うつ病 / ドキセピン / ハロペリドール |
研究概要 |
小動物研究:ラットを用いてfood-deprived activity stress model(FDAS)におけるオレキシンの効果を調べた。FDASは食欲異常症のモデル動物であり過活動と体重減少を特徴とし、ヒスタミン神経系賦活は抗ストレス的に作用する。オレキシンAの脳室内持続投与(12nmol/day)は自発運動量にはあまり影響しなかったが、activity stressにおける回転運動を有意に促進し、その結果ラット体重を大きく減少させた。この時脳内ヒスタミン含量、ノルアドレナリン含量は有意に増加していた。ドパミンD2受容体遮断薬であるハロペリドール投与は有意にオレキシンのよる回転運動増強効果を減弱させたことから、オレキシンはドパミン神経系、特に報酬系を賦活して回転運動亢進と体重減少を引き起こすことが示唆された。オレキシンとは逆にヒスタミン神経系の賦活は、報酬系賦活を抑制してストレスを減弱させる。 臨床研究:精神疾患におけるヒスタミン神経系の変化を明らかにするために、うつ病のH1受容体量をC11ドキセピン-PETにより測定した。うつ病男性10例と年齢のほぼ一致した健常男性10名にC11ドキセピンを投与し脳のH1受容体量を比較した。東北大学医学部倫理委員会の承認を得て、心療内科と共同で研究を行った。うつ病患者では有意に前頭葉を中心にH1受容体量の低下を認めた。うつ病の症状のスコアであるSDSスコアとH1受容体量減少は相関し、症状が重いほどH1受容体量が低下していた。うつ状態では明確にヒスタミン神経系の神経伝達が低下していることから、ヒスタミン神経系の賦活によるうつ病の治療戦略の可能性を開拓できた。
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