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2002 年度 実績報告書

シナプス蛋白のチロシンニトロ化による脳機能障害

研究課題

研究課題/領域番号 14370031
研究機関名古屋大学

研究代表者

鍋島 俊隆  名古屋大学, 医学部附属病院, 教授 (70076751)

研究分担者 新田 淳美  名古屋大学, 医学部附属病院, 助教授 (20275093)
山田 清文  金沢大学, 薬学部, 教授 (30303639)
キーワードβアミロイド / アルツハイマー病 / 一酸化窒素 / 誘導型NO合成酸素 / チロシンニトロ化 / シナプトフィジン / アセチルコリン / 学習記憶
研究概要

ラット脳室内へのβアミロイドの持続注入により誘発される脳機能障害のメカニズムを検討し、以下の結果を得た。
1.βアミロイドの持続注入により、海馬において誘導型一酸化窒素(NO)合成酵素(iNOS)が誘導される。
2.iNOSにより合成された大量のNOはペルオキシ亜硝酸に変換され、シナプス蛋白であるシナプトフィジンのチロシンニトロ化を誘発する。
3.βアミロイドの持続注入によりチロシンニトロ化を受けたシナプトフィジンは、チロシンリン酸化の基礎レベルが増加し、シナプトブレビンとの結合が低下している。
4.iNOS阻害剤であるアミノグアニジン(AG)およびペルオキシ亜硝酸スカベンジャーである尿酸(UA)は、βアミロイドにより誘発されるシナプトフィジンのチロシンニトロ化を抑制する。
5.AGおよびUAは、βアミロイド注入ラットにおけるアセチルコリン遊離の障害を改善する。
6.AGはβアミロイド注入ラットにおける学習記憶障害を改善する。
7.βアミロイドの持続注入により、内因性抗酸化物質(Mn-SOD, GSH, GSH peroxidase, GSH-S-transferase)の免疫反応性が脳部位特異的に減少する。
8.βアミロイド注入ラットの海馬では、細胞質のプロテインキナーゼC(PKC)活性が低下し、in vitroにおけるフォルボールエステル刺激により誘発されるPKCのトランスロケーションが障害される。
以上の結果より、βアミロイドの持続注入により誘発される脳機能障害には、iNOS誘導に伴うシナプトフィジンのチロシンニトロ化が重要な役割を果たしていることが示唆された。さらに、βアミロイドにより誘発される脳機能障害には、PKC活性の低下と機能障害および酸化的ストレスが関与していることが示唆された。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] A.Olariu et al.: "Memory impairment induced by chronic intracerebroventricular infusion of beta-amyloid (1-40) involve downregulation of protein kinase C"Brain Research. 957. 278-286 (2002)

  • [文献書誌] K.Yamada, T.Nabeshima: "Therapeutic approaches to the treatment of Alzheimer's disease"Drugs of Today. 38. 631-637 (2002)

  • [文献書誌] H.C.Kim et al.: "Immunocytochemical evidence that amyloid β (1-42) impairs endogenous antioxidant systems in vivo"Neuroscience. (in press). (2003)

  • [文献書誌] M.Mizuno et al.: "Phosphatidylinositol 3-kinase : a molecule mediating BDNF-dependent spatial memory formation"Molecular Psychiatry. (in press). (2003)

  • [文献書誌] M.H.Tran et al.: "Tyrosine nitration of a synaptic protein synaptophysin contributes to amyloid β-peptide-induced cholinergic dysfunction"Molecular Psychiatry. (in press). (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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