研究課題/領域番号 |
14370032
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
薬理学一般
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
乾 誠 山口大学, 医学部, 教授 (70223237)
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研究分担者 |
木村 佳弘 山口大学, 医学部, 助教授 (90301308)
山田 康枝 山口大学, 医学部, 講師 (00166737)
高 知愛 山口大学, 医学部, 助手 (70314797)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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キーワード | 心不全治療薬 / SERCA / ホスホランバン / 心筋小胞体 / 細胞内Ca^<2+>輸送 / 蛋白質間相互作用 / スクリーニング |
研究概要 |
心筋の収縮弛緩は、細胞内カルシウム・イオン(Ca)によって制御されている。このCaは、細胞内Ca貯蔵部位である筋小胞体(SR)のCaポンプ(SERCA)及びCa遊離チャネルにより調節されている。このうちSRのCaポンプには、調節蛋白質ホスホランバンによる訓節機構が備わっている。ホスホランバンは、SERCAを阻害しており、この阻害を解除することにより弛緩の促進と共に収縮力増加が起こり、かつ心不全などの病態を改善させることが知られている。本研究は、SERCAとホスホランバンの相互作用に作用し、心筋弛緩促進能を持った新たな心不全治療薬を研究開発することを目的として研究を行った。その結果、以下のような成果を得た。 1)SERCA-ホスホランバン相互作用部位に作用点を持つ薬物のスクリーニング・システムの確立 SERCAの細胞質ドメインとホスホランバンの細胞質ドメインのそれぞれの融合蛋白質を用いてSERCAとホスホランバンの相互作用を再現することに成功した。これを384穴プレートで検出するシステムを構築し、薬物スクリーニング・システムを確立した。 2)ホスホランバン多量体構造に作用する因子の検索 ホスホランバンは、通常、大部分が5量体構造をとっているが、SERCAへの阻害作用は、少量の単量体によってもたらされる。両者の平衡を5量体へ向かわせる因子は、ホスホランバンのSERCAへの阻害を解除し、弛緩の促進と収縮力の増強をもたらし心不全を改善することが予想される。SRを構成する燐脂質の効果を調べた結果、ホスファチジン酸が強力に単量体の増加をもたらすのに対し、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノラミン、ホスファチジルグリセロールが強力に5量体化を促進することが明らかとなった。ホスホランバンの5量体化を促進する薬物或いはリゾホスファチジルコリンやリゾホスファチジルエタノラミンを産生させるホスホリパーゼDを活性化する薬物は、心機能を改善する可能性を示唆した。
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