研究分担者 |
塩島 聡 国立成育医療センター研究所, 薬剤治療研究部, 研究員
三輪 嘉尚 京都大学, 薬学研究科, 講師 (20093320)
松本 治 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (10231599)
輿水 崇鏡 国立成育医療センター研究所, 薬剤治療研究部, 研究員
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研究概要 |
ゲノム科学の登場により生命科学、特に医学研究のスタイルが大きく変わった。論理的発展としては、ゲノム→トランスクリプトーム→プロテオーム、という道筋は明らかであり、各相の探索解析法の開発が行われてきているが、遺伝子機能を体系的に"ゲノムスケール"で解析する標準的アプローチを欠いている。近年ゲノムテクノロジーの進展により,発現変動している遺伝子群を微量サンプルで解析できる革新技術としてマイクロアレイ法やDNAチップ等のトランスクリプトーム・スキャニングが登場した。本研究ではその遺伝子情報が未だ充実していない動物モデルの各臓器別標準化cDNAライブラリーを作成し、このライブラリーを高密度に配置した臓器別標準cDNAライブラリーDNAチップを作成し、モデル疾患における病態遺伝子発現の解析と既存の薬物治療により変動する発現遺伝子群を絞り込むことを目的とした。このチップを用いて疾患動物モデルで遺伝子発現の変動をモニター解析し、病態関連遺伝子群、治療関連遺伝子群を絞り上げを実施し病態生理上の意義を検討した。例として、ラット糸球体基底膜を抗原とするウサギ抗血清をラットに投与することにより,ラット糸球体腎炎モデルを作製した。糸球体腎炎の誘発は,ラットに上記の腎炎誘発用の抗血清投与液を静脈内投与することにより行い、ラット腎臓標準化cDNAマイクロアレイチップを用いて,ラット糸球体腎炎モデルの腎臓組織において発現量が変動する遺伝子、腎臓組織における発現変動遺伝子を解析した。その結果、腎疾患の病態形成,病状の悪化や治療のターゲットに関連する可能性の極めて高い遺伝子群を見出すことができた。以上のことから、この方法論は病態解析、創薬ターゲットの絞り込みに有効な方法論であることが明かとなった。
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