研究概要 |
ほ乳類ポリコーム群タンパクは、ショウジョウバエにおけると同様にホメオボックス(Hox)遺伝子座の転写制御に強いインパクトを与える。しかしながら、その作用機序について多くのことは明らかにされていない。そのために、Hox遺伝子座、特に、HoxB8遺伝子に焦点を絞って、ポリコーム群タンパクの結合パターンを、染色体免疫沈降法を用いた解析を行った。Rnf2(Ring1b),Edr1(Rae28/Mph1),Ring1(Ring1A)とCbx2(M33)に対する抗体を用いて、HoxB7からHoxB9にわたる領域を解析した結果、Edr1とCbx2は転写の状態に関係なく結合していたが、Rnf2とRnig1は転写が抑制されている場合に、その転写調節領域に強く結合していることが示された。このことは、ポリコーム群は、転写の状態に関連なくHox遺伝子座に結合しえ、抑制されている領域ではより完全な複合体が形成されていることを示している。また、転写が抑制されている領域においても、ヒストンH3K9は顕著にアセチル化されていたことから、ショウジョウバエで観察されたのと同様に転写にコンピテントな領域において、ポリコーム群は転写抑制に寄与していることが示された。また、転写が活性化されている領域におけるEdr1の結合が、機能的に重要であることをノックアウトマウスを示した。Hox/LacZトランスジーンを用いた解析は、これらの結合がヒストンアセチル化の維持に寄与していることを明らかにした。
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