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2002 年度 実績報告書

新しい翻訳開始制御機構:TORとGIドメイン蛋白質によるGCN経路の御制

研究課題

研究課題/領域番号 14370043
研究機関金沢大学

研究代表者

伊藤 隆司  金沢大学, がん研究所, 教授 (90201326)

研究分担者 太田 一寿  金沢大学, がん研究所, 助手 (00322727)
キーワードTOR / ラパマシン / GIドメイン / GCN2 / eIF2α
研究概要

細胞の成長および増殖には、それを支える栄養状態の感知が必須であり、これに応じて蛋白質合成を開始するか否かの決定がなされる。出芽酵母を用いた分子遺伝学的研究はこの重要な決定に関わる経路を明らかにしてきた。アミノ酸欠乏ストレスに晒された出芽酵母では翻訳開始コドンに作用するeIF2αをリン酸化するプロテインキナーゼGCN2が活性化されて翻訳が全般的に抑制される(GCN経路)。一方で十分な栄養が存在するとPI3K関連キナーゼTORが活性化され、mRNAのキャップに作用するeIF4Eを介して翻訳開始が亢進し細胞の成長と増殖が起こる(TOR経路)。栄養状態を感知して翻訳を制御するこの二つの経路は細胞の生存にともに重要な経路であるが、両者の関連はこれまで明らかではなかった。
我々は本研究で下記の諸点を明らかにした。
1)TORの特異的阻害剤ラパマイシンが転写因子GCN4の翻訳を誘導する。
2)ラパマイシンによるGCN4の翻訳誘導はリン酸化eIF2αの増加を伴う。
3)ラパマイシンによるリン酸化eIF2αの増加は、脱リン酸化の抑制ではなくてリン酸化の亢進による。
4)ラパマイシンによるeIF2αキナーゼGCN2の活性化には、アミノ酸がチャージされていない遊離tRNAとの相互作用が必要である。
5)ラパマイシンは、細胞内遊離tRNAの濃度に変化を与えない。
6)遊離tRNAとの親和性に影響を与えるリン酸化部位Ser-577に変異を持つGCN2はラパマイシンによる活性化を受けない。
以上の結果より、TORは直接或いは間接にGCN2のSer-577をリン酸化することで、遊離tRNAへの親和性を低下させ、通常濃度の遊離tRNAによるGCN2の活性化を防いでいることが示された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Ponting, C.P. et al.: "OPR, PC and AID : all in the PBl family"Trends Biochem. Sci.. 27(1). 10-10 (2002)

  • [文献書誌] Oyama, T. et al.: "Extraction of knowledge on protein-protein interaction by association rule discovery"Bioinformatics. 18(5). 705-714 (2002)

  • [文献書誌] Ito, T.et al.: "Roles for the two-hybrid system in exploration of the yeast protein interactome"Mol. Cell. Proteomics. 1(8). 561-566 (2002)

  • [文献書誌] Maeng, H.Y.et al.: "Appearance of osteonectin-expressing fibroblastic cells in early rat stomach carcinogenesis and stomach tumors induced with N-methyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine"Jpn. J. Cancer Res.. 93(9). 960-967 (2002)

  • [文献書誌] Kuribayashi. F. et al.: "The adaptor protein p40^<phox> as a positive regulator of the superoxide-producing phagocyte oxidase"EMBO J.. 21(23). 6312-6320 (2002)

  • [文献書誌] Ago, T.et al.: "Phosphorylation of p47phox directs PX domain from SH3 domain toward phosphoinositides, leading to activation of the phagocyte NADPH oxidase"Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 100(in press). (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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