研究課題/領域番号 |
14370044
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
山村 博平 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90030882)
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研究分担者 |
通山 由美 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70362770)
定 清直 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (10273765)
柳 茂 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (60252003)
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キーワード | チロシンキナーゼ / Syk / アダプター蛋白質 / 3BP2 / Cbl-b / c-Cbl / CRAM / Pak2 |
研究概要 |
昨年度の研究結果を更に発展させて、チロシンキナーゼSykの新しい機能の探索を目指し、本年度は以下の成果を挙げた。 1)細胞増殖・細胞接着におけるSykの役割:接着細胞を用いて浸透圧ストレスによるSykの活性化調節について解析し、Cdc42/Racにより活性化するセリン・スレオニン・キナーゼPak2がSykと会合し、活性化を引き起こすこと、また下流のキナーゼであるJNKの活性化制御することを、siRNA法を用いて更に発展させ、報告を行った。 2)マスト細胞・T細胞におけるSyk標的分子の同定と機能解析:抗原刺激によるマスト細胞活性化の際のSykの標的分子として3BP2(c-Abl SH3-binding Protein-2)とCbl-bをそれぞれ同定した。昨年までの研究をさらに発展させて、3BP2は、チロシンキナーゼLynのSH2・SH3領域に共に作用するリガンドであることや、3BP2がLynの自己リン酸化能を活性化し、マスト細胞の活性化を正に調節することを明らかにした。この発見によりSrc型キナーゼの活性化メカニズムである「活性化サイクル」を提唱した。さらにT細胞においては3BP2が転写因子活性化の制御を担うことを解明した。また蛋白質ユビキチンリガーゼであるc-Cbl、Cbl-bはマスト細胞の脱顆粒反応やサイトカイン産生を負に調節し、特にCbl-bの標的分子は別のアダプター蛋白質Gab2であることを明らかにした。 3)食作用におけるSykの役割:自然免疫のシグナル伝達機構において、Sykが初期エンドソームとリソゾームの融合を制御する因子であることを、siRNA法により明らかにした(He, et al.投稿中)。 4)他に、Syk/ZAP-70の抗体に交差反応する分子として同定されたCRAMの結合蛋白質M-septinのミトコンドリアにおける機能解析の過程で別のチロシンキナーゼであるFes/Fpsによる微小管調節機能を明らかにした。
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