研究課題/領域番号 |
14370056
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
生田 宏一 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (90193177)
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研究分担者 |
嘉数 直樹 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (20264757)
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キーワード | サイトカイン / Stat / T細胞抗原受容体 / T細胞抗原受容体 / シグナル伝達 / DNA組換え / ヒストン修飾 / クロマチン |
研究概要 |
リンパ球抗原受容体遺伝子は分化段階特異的にV(D)J組換えをおこすが、これはクロマチンの開閉状態により制御されている。我々は、インターロイキン7レセプターにより活性化されたStat5が、TCRγ遺伝子座に転写共役因子をリクルートし、ヒストンのアセチル化により転写とDNA組換えを誘導することを示した。最近、ヒストンH3Lys9のメチル化が種々の遺伝子座のサイレンシングを誘導することが報告されているので、TCRγ遺伝子座が閉じた状態とヒストンのメチル化との関連について解析した。 BaF3/pim-1細胞ではIL-3刺激によりTCRγ遺伝子座においてヒストンのアセチル化が誘導される。この実験系を用いて、サイトカイン刺激後のTCRγ遺伝子座全域のヒストン修飾の経時的な変化を、抗アセチル化ヒストンH3Lys9抗体と抗メチル化ヒストンH3Lys9抗体を用いて、クロマチン免疫沈降法にて解析した。その結果、サイトカイン非刺激の状態でJγ germlineプロモーター、エンハンサー領域、HsA領域(V領域の中に存在する調節領域)が高レベルでメチル化されていたが、刺激後数日間でそのメチル化レベルが徐々に低下し、代わりにアセチル化レベルが上昇した。この時、Jγ領域のgermline転写の誘導をノザン法で、クロマチンの開閉状態を制限酵素accessibility法にて解析すると、サイトカイン刺激後数日間をかけて転写とaccessibilityが除々に上昇した。一方、Cγ遺伝子においては、ヒストン修飾のこのような変化は見られなかった。以上の結果から、TCRγ遺伝子座におけるヒストンH3Lys9の修飾は調節領域に特異的に誘導され、クロマチンの閉じた状態とヒストンH3Lys9のメチル化が良く相関することが示された。一方、ヒストンH3Lys9のアセチル化とクロマチンの開いた状態が良く相関することが示された。
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