研究課題/領域番号 |
14370066
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
中島 孝 群馬大学, 医学部, 教授 (20124422)
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研究分担者 |
前田 雅昭 免疫生物研究所, 開発部長
佐野 孝昭 群馬大学, 医学部, 講師 (90292581)
小山 徹也 群馬大学, 医学部, 助教授 (50233622)
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キーワード | 14-3-3σ蛋白 / 正常組織 / 腫瘍組織 / 扁平上皮 / 基底細胞 / 筋上皮細胞 / 肺癌 / 偏平上皮癌 |
研究概要 |
本研究では、まず、免疫生物研究所で作製したヒト14-3-3σ蛋白に対する抗体の特異性をイムノブロット法で検討した。7種類の14-3-3蛋白との反応性をみると、ヒト14-3-3σ蛋白のみに反応し、さらにヒト肺組織ならびに肺扁平上皮癌から抽出した蛋白と特異的に反応することから、この抗体はヒト由来の14-3-3σ蛋白を特異的に認識することが分かった。 そこで、この抗体を用いて免疫組織学的にヒト正常組織ならびに各種腫瘍組織における14-3-3σ蛋白の分布を検討した。その結果、14-3-3σ蛋白が強く発現している組織は各臓器の扁平上皮であり、一般に基底部ではその発現が弱く、基底上部から彌慢性に発現していた。さらに、肺などの気管支上皮では基底細胞に強い反応がみられ、繊毛円柱上皮では全く、14-3-3σ蛋白発現は認められなかった。さらに、各種腺組織では、腺や導管の基底細胞、または筋上皮細胞が14-3-3σ蛋白陽性であった。そのほか胆嚢上皮や膀胱の移行上皮も中等度の陽性所見を示し、胃の腺窩上皮や大腸粘膜でも弱い14-3-3σ蛋白発現を認めた。肺組織では、扁平上皮化生粘膜上皮に強い14-3-3σ蛋白発現がみられ、気管支上皮との隣接部をみると、基底細胞の増生が化生細胞に移行する像が認められた。また、過形成性の肺胞II型上皮も強い14-3-3σ蛋白発現を示すことも明らかとなった。腫瘍組織における14-3-3σ蛋白発現を同様に検討すると、肺では扁平上皮癌の大部分が強陽性となり、それに対して、腺癌では発現の程度が弱いことが示されたが、乳癌で見られるような、癌になると、14-3-3σ蛋白発現が陰性化するというような所見は肺癌ではほとんどみられなかった。
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