研究概要 |
1)ホジキン病とALCL: H-RS細胞の構成的NF-kB活性化が過剰発現CD30のリガンド非依存的シグナル伝達によること、その阻害によりアポトーシスが誘導されること、更に、H-RS細胞内ではTRAFタンパク質のシグナル依存的凝集が認められ、そこにIKK, NIK, IkBa等のシグナル伝達分子が局在することを明らかにして報告した。更に、(1)CD30のプロモーター内のマイクロサテライトの機能を検討し、ホジキン細胞では転写抑制活性を示さず、その短縮も認められないこと、その近傍に見いだしたAP-1結合配列が、ホジキン病細胞に発現するJunBを介して、マイクロサテライト配列の転写抑制活性に拮抗する事を明らかにした(現在Am J Pathol, in revision)。(2)プロモーター領域のクロマチン構造とCD30の発現との関係を検討するため、CpGメチル化の解析を行い、発現レベルとメチル化レベルに逆相関が見られることを明らかにした(Ogawa et al.,投稿準備中)。CD30シグナルの標的分子の同定を目的としたDNA array解析は東京大学医科学研究所渡辺真哉博士の協力で進行中である。CD30シグナル伝達経路とp80NpM-ALKのクロストークの分子機構について検討し、NPM-ALKがそのキナーゼ活性依存的にTRAF蛋白質とCD30の会合を阻害してNF-kBの活性化を抑制する事を見いだした(Horie et al.,投稿中) 2)ATL: ATL細胞のPKCβII過剰発現と活性化の分子機構ついて解析をおこない、少なくとも遺伝子のCpG脱メチル化が認められることを確認し、解析中である。また、PKCβIIの下流の標的分子の同定を目的に、過剰発現細胞株の作成を行い、DNAアレイで解析の準備を行っている。また、DNAアレイを用いてATL細胞の発現プロファイル解析を目指して検討中であり、これまで、正常活性化Tリンパ球、HTLV-1非関連白血病・リンパ腫由来T細胞株、HTLV-1感染不死化細胞株とATL由来細胞株などが、クラスター解析によりこれらの属性が明確に区分できることを見いだした。現在in vivoのATL細胞に関する解析を進めている。
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