研究課題/領域番号 |
14370068
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
林 祥剛 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (50189669)
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研究分担者 |
具 英成 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (40195615)
尹 聖哲 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (60273786)
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キーワード | ATBF-1 / HNF-1 / HNF-4 / HNF-3 / 肝幹細胞 |
研究概要 |
肝臓の発生においては、胎生期に原始腸管から肝芽が発芽して、さらに肝細胞、胆管細胞に分化する。肝細胞、胆管細胞に分化する肝組織幹細胞は、ひとではヘリング管あたりに存在するという。この肝組織幹細胞から肝細胞、胆管細胞への分化を制御する因子として転写制御因子である肝細胞高発現核蛋白HNF-3、6、4、1がある。肝細胞においては、HNF-3β、HNF-6、HNF-4α、HNF-1αが発現するが、胆管細胞においては、HNF-3β、HNF-6のみしか発現しない。このことを利用して肝細胞癌、胆管細胞癌、混合型肝細胞癌の鑑別、肝幹細胞の同定を試みた(論文投稿中)。また機能不明の転写制御核蛋白ATBF-1が肝細胞のα-fetoprotein発現の制御に関与している可能性を示唆した(Hepatol 35:82-87,2002)。 一方新たに、あるtransmembrane-type protein tyrosine phosphataseが肝細胞の分化、肝癌細胞の脱分化に関わり、肝癌細胞の分化が低くなるに従って、発現が低くなることを明らかにした。このphosphatase遺伝子の導入による強制発現実験で、肝癌細胞の遊走能が減弱する事を示し、この蛋白が肝癌の進展と何らかの関係があることを明らかにした(論文投稿中)。 動物モデルの肝細胞再生において周囲肝細胞にapoptosisを誘導しながら、oval cellが増生していることを示し、oval cellは、自らはapoptosisに陥らず、周囲肝細胞にapoptosisを誘導して増生することを示した(論文投稿中)。この分子機序の解明を現在行っている。 ひと慢性ウイルス性肝炎においてインターフェロン治療により、発癌が抑制される。この機序については、発癌初期の細胞にapoptosisの誘発するという説があるが、我々は、このメカニズムについても明らかにしつつある。
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