研究課題/領域番号 |
14370069
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
井藤 久雄 鳥取大学, 医学部, 教授 (60127610)
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研究分担者 |
尾崎 充彦 鳥取大学, 医学部, 助手 (40325006)
庄盛 浩平 鳥取大学, 医学部, 助手 (60314572)
守山 正胤 鳥取大学, 医学部, 助教授 (90239707)
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キーワード | 消化器癌 / アポトーシス / 細胞増殖 / RUNX3 / ARPP遺伝子 / COX-2 / tegafur / 腫瘍内微小血管 |
研究概要 |
1、アポトーシスに関連する新規蛋白質として、RUNX3の抗体を作製し、その特異性を確認した。免疫組織化学的にRUNX3蛋白は胃底腺の主細胞やある種の内分泌細胞に発現していた。腸上皮化生や腺腫細胞での免疫活性はなく、胃癌82病変中RUNX3陽性癌細胞を見いだしたのは3病変(3.7%)のみであった。RUNX3のがん抑制遺伝子の可能性が示唆された。 2、新規遺伝子ARPPの発現と機能解析を行った。ARPPはI型骨格筋において選択的に発現しており、グルコーストランスポーターの細胞内輸送に関与している。 3、Cyclo-oxygenase-2(COX2)は食道癌切除標本100例において種々の程度に発現しており、それは腫瘍内微小血管数あるいはアポトーシス細胞の減少と有意に相関していた。ヒト胃癌および食堂癌培養細胞株にCOX2阻害剤を添加すると、細胞増殖活性が抑制されたが、アポトーシス細胞の増加はなかった。 4、ヒト胃癌培養細胞を用いた検討からFasを介するアポトーシスはミトコンドリアからのチトクロームcを介するtype II経路であることを示した。Akt阻害剤であるLY294002を添加すると、大部分の胃癌培養細胞株にアポトーシスが誘導された。この時アポトーシス抵抗性Mcl-1の発現低下、Bad蛋白の脱リン酸化が生じていた。 5、進行胃癌33症例に低用量tegafurを術前に7日間経口投与し、非投与群(20例)と比較して、その効果を検討した。投与群では胃癌細胞のアポトーシスおよび腫瘍内微小血管数が有意に増加した。一般にアポトーシス細胞数と腫瘍内微小血管数は有意に逆相関することを示してきたが、前記の奇異的結果は腫瘍細胞による血管新生因子発現亢進による可能性が示唆された。
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