研究課題/領域番号 |
14370078
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中川 和憲 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (50217668)
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研究分担者 |
中島 豊 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (50135349)
米満 吉和 九州大学, 大学病院, 講師 (40315065)
居石 克夫 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (70108710)
橋本 修一 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (00243931)
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キーワード | 血管新生 / 血管内皮細胞 / 遺伝子導入 / 遺伝子治療 / 血管リモデリング / シグナル伝達 |
研究概要 |
血管内皮細胞機能の障害・修復反応過程を軸とした血管リモデリングの分子機構と、これを基盤とした疾患の分子病態解明を目的に、1)培養細胞を用いた細胞間のクロストーク因子による血管壁細胞の機能修飾機序の解析、2)動物モデルの分子病態解析と治療効果の基礎解析、3)遺伝子導入実験解析を中心として以下の結果を得た。 血管新生因子の機能的階層性については、FGF-2によるHGF発現亢進機序はMEKを介した早期発現、p70^<s6k>、Ras/PDGF介在の持続発現機構の調節や、腫瘍性血管新生での宿主側のPDGF系の重要性を解明しつつある(J Clin Invest、revised)。重症急性虚血肢モデルでのSeV-FGF2による血流回復効果の普遍性を、臨床的に慢性虚血肢の血行動態に酷似するウサギでも証明したほか、慢性虚血肢に移植した自家静脈グラフトの内膜肥厚の抑制と同グラフトの内皮依存性弛緩反応の改善も明らかにし、バイパスグラフトの晩期閉塞予防への有効性を示している(Am J Physiol、2003)。さらに虚血性心臓病に対し、新開発の心筋内遺伝子導入用カテーテルにより、経心臓内腔的遺伝子導入を実現し、マウス心筋梗塞モデルで、SeV-FGF2が心破裂、心不全を有意に抑制できる事を証明した。 それ以外に、網膜疾患に対してSIVベクターがラット網膜内で1年以上にわたり安定した遺伝子発現が可能であること(Gene Ther,2003)や、実際にラット網膜色素変性モデルの実験で、神経保護遺伝子導入による治療効果を得ている(Gene Ther,2003)。このことは、我々のベクターが導入外来遺伝子の機能的かつ安定した発現が可能なポテンシャルを持ち合わせていることを示している。こうしたこれまでの知見の蓄積を元に、血管リモデリングを基盤とした疾患治療の標的遺伝子の探索とその病態形成のメカニズムについて引き続き解析を進めていく予定である。
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