研究概要 |
本研究は、タイト結合とヒト疾患の関係を解明するため、タイト結合の転写レベルの制御、血管内皮細胞のタイト結合、肝細胞のタイト結合の三つの柱があり、以下に各々の成果を述べる。 1.タイト結合の転写レベルの制御 マウステラトーマF9細胞に核内レセプター型転写因子HNF-4αを発現させると、occludin, claudin-6,claudin-7,JAM-Aのタイト結合蛋白の発現が誘導され、タイト結合機能が上昇した。しかし、Par-3,aPKC, Par-6,CAR, ZO-1,ZO-2,E-Cadherinの発現は変化しなかった。 2.血管内皮細胞のタイト結合 野生型またはThr207をAlaに置換したclaudin-5の発現を誘導できるラット肺血管内皮(RLE)細胞株を樹立し、claudin-5の発現によって分子サイズ選択的内皮バリアが再構成されること、claudin-5のThr207がPKAによるリン酸化部位であること、そのリン酸化が内皮バリアの制御に重要な役割を果たすことを明らかにした。 3.肝細胞のタイト結合 タイト結合膜蛋白occludinをマウス肝細胞に一過性あるいは恒常的に発現させて、occludinの役割を検討した。一過性に発現させた細胞では、claudin-1の細胞接着部へのリクルートが認められた。恒常的に発現させた細胞では、claudin-1の増加とclaudin-2の減少が認められ、occludinは、タイト結合におけるclaudin-1とclaudin-2の発現バランスを調節していると考えられた。
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