研究課題/領域番号 |
14370089
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
池 康嘉 群馬大学, 医学部, 教授 (60125820)
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研究分担者 |
富田 治芳 群馬大学, 医学部, 講師 (70282390)
藤本 修平 群馬大学, 医学部, 講師 (90241869)
谷本 弘一 群馬大学, 医学部, 助教授 (40188389)
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キーワード | 腸球菌 / 遺伝学 / E.faecium / E.faecalis / 定着因子 / バクテリオシン / プラスミド / バンコマイシン耐性 |
研究概要 |
(1)定着凝集因子の研究 ヒト膀胱培養細胞及び人膀胱組織に高頻度に定着するE.faecalis株を臨床分離株より分離し、ヒト細胞表面のフイブロネクチンに特異的に結合する蛋白がE.faecalisの細胞表面に存在することを報告した(Infect.Immun.67:1585-92.(1999))。その後定着をin vitroで定量する方法を開発し解析した結果、ヒト細胞の定着にはコラーゲン、ラミニン、ファイブロネクチンへの定着が必要であることを解明した(Infent.Immun.(2004)in press)。この結果はアメリカ微生物学会(ASM)主催の第1回国際腸球菌会議(1999年カナダ、バンフ)に招聘され発表した。 (2)バクテリオシンの研究 この研究におけるバクテリオシンはE.faecalisのIV型バクテリオシンと名付けたものである。これはE.faecalisにのみに殺菌作用があり、E.faecalisの臨床分離株の約20%が同様のバクテリオシン生産株である。約60kbの接合伝達性プラスミド上の、バクテリオシン遺伝子の遺伝学的解析の結果、バクテリオシン遺伝子は6kbの領域に存在し、バクテリオシン前駆体の生産、及び分泌、細菌細胞外での前駆体の活性化因子、自らのバクテリオシンの免疫因子等の遺伝子をコードしていた。論文を作成しJ.Bacteriol.に投稿中である。 (3)バンコマイシン耐性(VRE)の研究 アボパルシン使用歴のある国(タイ、フランス)から日本への輸入鶏肉から高頻度にVREが分離されることを発見した。これは薬剤耐性菌がglobalに拡散されることの最初の報告となった(Lancet353:1854.(1999))。 1)タイ産輸入鶏肉から分離されるVanA型VREは一般的なVanA型VRE(高度バンコマイシン、高度テイコプラニン耐性)と異なり高度バンコマイシン、低度テイコプラニン耐性でそのVanA型遺伝子に特徴的な構造があることを発表(FEMS Microbiology Letters 185:247-54(2000))した。さらにこれと同じバンコマイシン耐性度と遺伝子構造を持つVREが日本の患者から分離されることからVREが輸入鶏肉を介して人に伝播する可能性を明らかにした(Appl. Environ.Microb.68(12):6457-61(2002))。 2)E.faeciumで初めて当研究者等により発見された、液体培地中で高頻度に接合伝達するゲンタマイシン耐性プラスミドpMG1(65kb)の接合伝達機構の分子遺伝学的研究により、供与菌と授与菌の安定な接合に必要な、pMG1に特異的な遺伝子traAを同定した(J.Bacteriol.184:5800-5804(2002))。
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