1.バイオフィルム形成の条件 L.pneumophilaがバイオフィルムを形成する条件について検討した。本菌をBYE液体培地中で培養した場合、37℃では液面に管壁から剥がれやすいバイオフィルムを形成し、電子顕微鏡で観察すると菌体は長く伸長して線維状になっていた。一方、25℃で培養した場合、剥がれにくいバイオフィルムを形成し、菌体は短い桿菌状であった。(第55回日本細菌学会九州支部総会、平成14年9月、別府、にて発表) 2.バイオフィルム中、アメーバ中のレジオネラの高温暴露に対する抵抗性の検討 25℃で形成されたバイオフィルムに生息するL.pneumophila、アメーバAcanthamoebaに貪食されたL.pneumophila、液中に単独浮遊するプランクトニック状態のL.pneumophilaを各々高温(60〜75℃)に暴露させ抵抗性を調べたところ、バイオフィルム中では有意に抵抗性が高くなっていた。 3.細胞内増殖機序の多様性の研究 Legionella dumoffii細胞内で増殖するのに必要な遺伝子を解析した。まずtransposon mutagenesisによって、マウスのマクロファージ系株化細胞J774の中で増殖できない変異株を選択した。検索の結果トランスポゾンは変異株のDjl遺伝子中に挿入されていた。共焦点レーザー顕微鏡での解析により、本変異株はファゴソームとリソソームの融合(P-L融合)を阻害できないことがわかった。今後、Djl産物がP-L融合を阻害する機序について研究を進める予定である。(第55回日本細菌学会九州支部総会、平成14年9月、別府、にて発表)
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