平成17年6〜7月に、医療経験のまだ無い医学部3年生の学生91人および感染管理学科の看護師30人を対象に鼻腔に常在するブドウ球菌の検出を行った。分離されたMRSAおよびMRC-NSにおけるコアグラーゼ型、SCCmecのタイプ、薬剤感受性などを検討した。学生から分離されたMRSAは、1検体のみで、SCCmecのタイプはTypeIIに分類された。1ヶ月以内の抗生物質の投与歴およびアレルギーと皮膚炎があり、病院内獲得型MRSAと示唆された。一方、今回の看護師からは、MRSAは、検出されなかった。 また、MRC-NSの保有率は、学生では52人の57.1%、看護師では27人の90.0%であった。学生から分離されたMRC-NSのうち最も多い菌種は、S.epidermidisの37株、次いでS.haemolyticusの8株、S.hominisの4株であった。看護師からはS.epidermidisが24株、S.haemolyticusが2株、S.hominisが1株検出された。MRC-NSのうちSCCmecがIV型であったものは、学生では67.3%(35株/52株)、看護師では88.9%(24株/27株)であった。 Type IV SCCmecは、市中獲得型MRSAを特徴づけるカセットである。今回の研究から、MRC-NSがこのカセットのreservoirとなっていることが示唆されたとともに、健康成人におけるMRC-NSの蔓延が確認された。 今回の調査結果については、第80回感染症学会総会で発表する予定である。また、平成13年7〜9月および平成14年3月の2回、東北地方の幼稚園および保育園(計4施設)および平成14年11〜12月に行った京都および佐賀の保育園(計3施設)における調査結果をまとめた論文は、Journal of clinical microbiologyで発表された。
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