研究課題/領域番号 |
14370098
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
志田 壽利 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (00144395)
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研究分担者 |
木所 稔 国立感染症研究所, 主任研究官 (00370958)
博多 義之 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助手 (30344500)
安田 二朗 科学警察研究所, 室長 (10282518)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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キーワード | CRM1 / HTLV-1 / Rex / ラット / 感染動物モデル |
研究概要 |
HTLV-1の疾病の研究や詳細な感染様式の解析には小型モデル動物の開発が必要である。特に、ラットは不完全ではあってもHTLV-1の感染動物モデルとして使われてきた。我々はラット細胞でのHTLV-1の増殖が悪い原因として、ラットのrCRM1がRexのコファクターとして働かないことを見いだした。ヒトのhCRM1をラット細胞に導入するとRexの活性が回復する。このことはヒトのhCRM1を発現するトランスジェニック(Tg)ラットがHTLV-1のよい感染モデル動物となりうることを示唆している。そこで、実験動物として優れた特性をもち、低いながらもHTLV-1感染に感受性が確認されているラットに、発生工学手法を用いてヒトCRM1遺伝子を導入することにより感染動物モデルの確立を試みることを目的とした。 先ず細胞レベルでhCRM1の導入効果を調べた。そのために、レトロベクターを用いてヒト細胞と同程度のhCRM1を発現する細胞株を作成した。その結果、以下のことが分かった。1.細胞増殖に影響を与えない。2.ヒト細胞と同等のGagの発現を可能にする。3.内在性のrCRM1に優性阻害効果はない。さらに、(1)HTLV-1ゲノムのクロモゾームへの組み込み効率は悪くない、(2)Taxは機能する、(3)ウイルス粒子形成がヒート細胞と同程度の効率で起こる、ことが分かった。これらのことはhCRM1を発現させることによってラット細胞がHTLV-1の増殖を支持できるようになることを宗唆している。 次に、Tgラット内でのhCRM1の発現方法を決めるために、CRM1の発現制御を調べた。その結果、静止期T細胞での発現は低く、活性化に伴って誘導されるearly response geneであることが判った。 これらの結果を基に、hCRM1を発現するTgラットを作成した。現在HTLV-1の感染実験を計画中である。
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