研究概要 |
本年度の研究実績は以下の2点にまとめられる。 1)IL-5,IL-13,IL-4のTh2サイトカイン遺伝子座領域のヒストンアセチル化を、ナイーブT細胞、Th1およびTh2刺激条件で刺激したT細胞において、CHIP assayを行って調べた。3日をピークにIL-4 promoter, CNS1, IL-13 promoter,では高アセチル化がTh2条件でのみ検出された。RAD50ではTh1/Th2どちらの条件でも高アセチル化が検出された。IL-5遺伝子座では、4日日からTh2特異的な高アセチル化がみられた。これらの実験結果を、500bp程度の細かい精度で実験し、IL-13の上流にアセチル化の始まる部位を同定した。そこに一致してGATA3の結合モチーフ(CGRE)があり、マウス・ヒト・ラットなどで保存されており、重要であることがわかった。CD8T細胞でも同じCGREからヒストンアセチル化が始まり、IL-13のexon3にあるROG(リプレッサー)モチーフを境にしてアセチル化が止まる。そのために、Tc2ではIL-4のリモデリングと産生が低いことがわかった。 2)Th2特異的ヒストンアセチル化はSTAT6とErk/RAS MAPKカスケード依存性であることがわかった。GATA3の発現上昇はSTAT6依存性であるが、Rasの下流のシグナル系がGATA3のタンパクの安定性を調節していることがわかった。TCRの下流のRasの経路によるTh2細胞の分化制御は、GATA3タンパクの調節を介していることが明らかになった。ポリコーム分子の関与は明らかではないが、ノックアウトマウスなどを用いてさらに詳細な検討を行っている。
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