研究課題
基盤研究(B)
我々は、ラット心臓中にペルオキシダーゼ依存性チロシンニトロ化を発生させる酵素又は蛋白質の存在を、生化学的及び免疫組織学的に検討した。チロシンニトロ化の関与する蛋白質は、可溶性分画で、pH6.0で最大の活性を示した。ヒドキシアパタイト、イオン交換クロマトグラフィー等による精製により、ヘモグロビンおよびミオグロビンが関与していることが判明した。その他の蛋白質の存在も認められたが、同定にまで至らなかった。モルカット膜を用いた検討により、ミオグロビンやチトクロームcは、この目的蛋白質に関係ないことが判明した。更に、凍結切片を用い、過酸化水素、亜硝酸イオン下で反応させると、ニトロチロシン抗体に反応する染色局在を、心筋細胞に認めた。下腿横紋筋では、このような染色が認められないことより、ミオグロビンではないことが判明した。さらに、虚血-再還流により作製した心筋梗塞の凍結切片を用いチロシンニトロ化に関与する酵素の存在を検討すると、冠動脈に集積する好中球由来のペルオキシダーゼが関与することが判明した。しかしながら、固定標本及び未処理凍結切片では、梗塞部の染色局在を認めるが、冠動脈での染色は認められなかった。以上より、ヘモグロビン、ミオグロビン、チトクロームC以外にチトクロームCの分解物であるミクロペルオキシダーゼも考えられるが、分子量から否定的であり、今後、高分子量のタンパクの検討が必要である。
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