研究課題/領域番号 |
14370128
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
千葉 百子 順天堂大学, 医学部, 助教授 (80095819)
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研究分担者 |
篠原 厚子 順天堂大学, 医学部, 講師 (90157850)
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キーワード | マグネシウム / 低Mg食 / Bioavailability / 安定同位体 26Mg / マウス / ランゲンドルフ灌流実験 / テストステロン |
研究概要 |
1.研究目的:マグネシウム(Mg)は生体必須元素であり、Mgは筋肉が機能する上で不可欠である。近年、栄養所要量が定められた。現在までMg中毒は報告されていない。従って欠乏の予防が要である。Mg欠乏状態を惹起したマウスをつくり、心臓機能、生殖能への影響を観察した。 2.方法:ICR系雄性マウスにMgを殆ど含まない餌(実測値42.4μg Mg/gを与えた低Mg群と通常の餌(実測値494.4μg Mg/g)を与えた対照群の2群を準備した。低Mg群では14日目から死亡するものが出始めた。心臓機能の実験は死亡直前のマウスの心臓を摘出し、ランゲンドルフ灌流実験(安定化30分、低酸素灌流30分、再酸素化30分)を行った。心尖部に針を刺入し、収縮力を観察した。灌流液を採取し、遊離したGOT量から心筋障害の程度を判断した。生殖能実験は精巣摘出群と対照群の血中テストステロンを測定した。Xenobiotic MgのBioavailabilityを観る目的で低Mg群に安定同位体26Mgを静脈内投与した。 3.結果:低Mg群では対照群に比べて体重、心臓重量ともに有意に低下したが、心筋中Mg濃度に差はなかった。ランゲンドルフ灌流実験では正常Krebs液で灌流すると低Mg群では対照群に比べて再酸素化による心機能の低下は有意で、障害も強かった。Mg除去液灌流では2群間に差はなかったが、低酸素灌流による拡張期張力の上昇と心筋障害は低Mg群で顕著であった。Isoproterenolによる強心作用、冠血管拡張作用は2群間に差はなかった。投与した26Mgは殆どすべての臓器に1時間後にピークを示したが、心筋と精巣へのピークは遅れ6時間後であった。 4.考察と結論 体重の低下、死亡率から本条件下のMg欠乏は重篤であると考えられるが、心臓の病理学的変化は通常の死戦期の変化に伴うものと考えられた。心臓機能は細胞内環境のMg欠乏状態への適応が早いと推察された。MgのBioavailabilityは心筋と精巣がたの臓器と異なる。生殖能実験では血中テストステロンは低Mg群で有意に低下するが、それが下垂体の性腺機能と関係するか否かは検討中である。
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