研究目的:マグネシウム(Mg)は生体必須元素であり、Mgは筋肉が機能する上で不可欠である。近年、栄養所要量および許容上限摂取量が定められた。わが国ではヒトのMg中毒も欠乏症も現在まで報告されていない。最近、食生活の乱れが問題になっていることから、欠乏の予防が重要である。Mg欠乏状態を惹起したマウスをつくり、生体機能への影響、生殖能への影響を観察した。 方法:ICR系雄性マウスにMgを殆ど含まない餌(実測値42.4μg Mg/gを与えた低Mg群と通常の餌(実測値494.4μg Mg/g)を与えた対照群の2群を準備した。低Mg飼料の調製を2社に依頼した。一社の低Mg色で飼育したマウスの雄では血中テストステロンを、雌では血中エストロゲンを測定した。 結果:二社の飼料中にはMg濃度は同程度であるが、死亡率に差が観察された。低Mg食のマウスではテストステロン濃度(雄)とエストロゲン濃度(雌)では個体差が大きかった。 考察と結論 体重の低下、死亡率から本条件下のMg欠乏は重篤であると考えられる。初年度の結果から、心臓の病理学的変化は通常の死戦期の変化に伴うものと考えられた。今回、二社の飼料でMg濃度は同じでも生存率異なったことは、同時に摂取する他の必須元素の量の違いが大きく関与したと考えられる。生殖能実験では性ホルモン濃度に個体差が大きく、前回に得た血中テストステロンは低Mg群で有意に低下するが、現象の再現ができなかった。このことは差、すなわち共存ミネラル量の差と関係するのではないかと考えられる。
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