研究課題/領域番号 |
14370129
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
柾木 龍一 関西医科大学, 医学部, 講師 (70140283)
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研究分担者 |
藤澤 順一 関西医科大学, 医学部, 教授 (40181341)
竹谷 茂 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (20121949)
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キーワード | Heme Oxygenase-1 / ストレスマーカー / 活性酸素検出試薬 / アラキドン酸 |
研究概要 |
Heme Oxygenase-1 (HO-1)は重金属や酸化を始めとする種々のストレスによって誘導されることが良く知られており、ストレスマーカーのひとつとなりうるが、本年度は特に酸化ストレスの原因となる活性酸素(ROS)とHO-1誘導の関係を詳細に検討した。生体内のROSの検出試薬であるdihydrodichlorofluorescein-diacetate (DCFH)の有効性とHO-1の誘導の関係を調べた結果、それらは必ずしも一致せず、むしろヘムと反応して必ずしも有効でないことがわかった。しかし、細胞をストレス誘導条件でない無処理の状態で培養するとDCFHの反応性は不均一であった。そこで、無処理の細胞におけるHO-1の発現を調べた結果、DCFH反応と同様に10-15%の細胞ではHO-1が高発現で不均一であることがわかった。そこで、DCFH高反応細胞をサイトフルオロメーター法を用いて分画して、HO-1の発現を調べたが、発現程度にはあまり差が認められなかった。そこで、無処理細胞での高発現と細胞周期や増殖などのマーカーと比較したが、一致することはなかった。しかし、数種類のストレス関連蛋白質の発現とは良く一致した。そこでプロスタグランディンの前駆体であるアラキドン酸を加えた結果、HO-1高発現細胞においてのみHO-1のさらなる誘導が認められた。しかしプロスタグランディンH2やプロスタグランディンE2,F2aでは誘導されなかった。また、Cox-2の阻害剤処理で誘導が低下した。従って、何らかのストレスを感じた細胞は過酸化物を含むプロスタグランディン合成中間体を介してHO-1を誘導することがわかった。HO-1は生体ストレスの有用なマーカーであり、その代謝物質であるビリルビンを始めとするヘムの分解物がストレスマーカーとなりうる可能性を示唆している。
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