研究課題
基盤研究(B)
睡眠呼吸障害(SDB)は睡眠中の呼吸の減少もしくは停止が反復して起こる状態である。われわれは、パルスオキシメトリ法を用い職域および地域住民に対しSDB検出のためにいくつかの研究を行った。その結果、日本の男性勤務者および地域住民においてSDBの有病率が米国やEU諸国と同程度の高率であることがわかった。日本人の男性でSDBと血圧値との関係を調べるために、農村部と都市部の地域住民男性で断面調査を行った。3%動脈血酸素飽和度低下指数(3%ODI)がSDBの指標とした。3%ODI値の低値と比較して高値群での高血圧の多変量調整後のオッズ比は1.6(95%信頼区間1.1-2.5)であった。この傾向は、非過体重者より過体重者でより顕著であった。さらに、日本の原子力発電所の男性交代勤務者と男性日勤者についてパルスオキシメトリ法によりODI値を調べたところ、血圧値は各種交絡因子を調整後も3%ODI値と有意な関連を認めた。この関連は40歳以上の対象者で顕著であり、特に高齢交代勤務者で著明であった。本結果から、血圧コントロールのために高齢の交代勤務者にSDBスクリーニングを実施することの重要性が示された。日常のアルコール摂取と夜間の酸素飽和度低下との関連を明らかにするために、アルコール摂取量の区分に従ってODI値を比較した。その結果、初めて日常のアルコール摂取とSDBの重症度との間に、年齢・BMI・喫煙などと無関係に著明で正の相関を見出した。この関連は、非過体重者で顕著であった。非過体重のSDB患者の保健対象として節酒が重要であることのエビデンスを示した。
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