研究課題/領域番号 |
14370135
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研究機関 | 富山医科薬科大学 |
研究代表者 |
鏡森 定信 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (20019615)
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研究分担者 |
成瀬 優知 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (30135008)
松原 勇 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (70173862)
森河 裕子 金沢医科大学, 医学部, 講師 (20210156)
中谷 芳美 浜松医科大学, 医学部, 講師 (90217753)
中林 美奈子 富山医科薬科大学, 医学部, 講師 (30293286)
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キーワード | Psychosocial Factor / Work-Family Conflict / Demand-Control Model / Effort-Reword Model / Follow-up Study / WHO-QOL / Sleep Quality / Mortality |
研究概要 |
心理社会的要因からみた健康格差について、調査を実施している地域および職域集団から追跡調査によって新たに得られた情報に基づいてさらなる分析を行った。また、この研究で共同研究をおこなっておるロンドンとフィンランドとの間で心理社会的要因による健康格差の比較もおこなった。 今年度は、本研究の目的である地域と職域の複眼的アプローチを追究するために、心理社会的要因としてWork-Family Conflict(仕事起因ストレスの家庭生活への影響と家庭起因ストレスの仕事への影響の双方向性)を調査項目に投入した。また、健康格差の指標として、病欠や症状・疾患などの他に、睡眠の質の差異を加えて分析をおこなった。 Work-Family Conflictに関しては、Work to Family Conflict(仕事起因ストレスの家庭生活への影響)とFamily to Work Conflict(家庭起因ストレスの仕事への影響)を、性別、年齢階層、職階の変数を調整して、睡眠、WHOの身体的および精神的健康に対する影響をホワイトカラー集団において比較した。その結果、Work to Family Conflictの方が、Family to Work Conflictより、今回取り上げた睡眠、WHO-QOLの身体および精神的健康度のいずれにおいても影響が大きかった。 Work-Family Conflictの健康影響に関する国際比較では、Work to Family ConflictとFamily to Work Conflictは、同じように心理精神的健康と関連していたが、日本の勤労女性の心理精神的健康度は3国のうちで最も低かった。また、職階と心身の健康との関連についても3か国比較をおこなった。その結果、職階の上昇に伴い心身の健康度も上昇するという一般的な関係は、日本の勤労女性においては確認されなかった。このように、日本の勤労女性は、国際比較において特異な状況にあることが明らかになった。 国内における地域の女性集団では、心理社会的状況がよいと骨折や脳卒中の発生が減り、健康寿命の延伸することが確認された。しかしながらこれらは、比較的高齢の集団における結果であり、青年期や壮年期にある勤労女性における分析では、国際比較でみられたように心理社会的要因と健康格差の関連については男性と異なる成績であった。
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