研究課題/領域番号 |
14370135
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
鏡森 定信 富山大学, 医学部, 教授 (20019615)
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研究分担者 |
成瀬 優知 富山大学, 医学部, 教授 (30135008)
松原 勇 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (70173862)
森河 裕子 金沢医科大学, 医学部, 講師 (20210156)
中谷 芳美 浜松医科大学, 医学部, 講師 (90217753)
土井 由利子 国立保健医療科学院, 疫学部, 室長 (70280758)
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キーワード | 心理社会的要因 / 職域ストレス / 家庭ストレス / 健康格差 / 疫学研究 |
研究概要 |
本年度の研究は、職域及び地域における健康格差の新たな指標の開発、健康格差の出現に関する職域と地域(家庭)の心理社会的要因の相互作用の2点を中心に行なった。 1、職域及び地域における健康格差の新たな指標の開発 アンケート調査と各種検査で健康状態を追跡している職域集団において、職域ストレスを反映することを明らかにした首尾一貫感覚(Sense of coherence ; SOC)が、血管系の内膜傷害を鋭敏に反映する高感度CRP(sCRP)という数値化が可能で客観的な病態機能と関連することを明らかにした。また、地域では住民の追跡調査により、身体的健康度を調整しても、社会参加やQOLといった心理社会的要因が、死亡、また脳卒中や骨折などの健康寿命に係わる傷病の発生あるいは多種類の健康障害を引き起こすことにつながる睡眠の質の低下に関与していることを明らかにした。 2、健康格差に関する職域と地域(家庭)の心理社会的要因の相互作用 地域及び地域住民の追跡調査にもとづき、職域のストレスならびに家庭のストレスが、健康格差の出現にどのように関係いているかを、心身の健康度(SF36やWHO-QOL)や睡眠の質を指標として検討した。家族構成や性差といった要因の影響を受けながらも、職域のストレスが地域(家庭)における健康状態に強く影響していることを支持する結果であった。また、少子高齢化といった今日的な社会ストレスも地域(家庭)を介して健康状態に影響している証左を得た。 以上、本年度の研究から、心理社会的要因にともなう健康格差を把握するための新たな指標について、その信頼性のみならず対象者及び調査者の受容性の面からも検討し、疫学研究におけるその有用性の高いものを提示した。また、本研究の最終年度であることから、職域と地域(家庭)ストレスが相互にその健康格差に影響することを集団の追跡調査から明らかにし職域と地域の複眼的視野のからの重要性を指摘した。
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