研究課題
習慣的な運動が健康に与える影響を、活性酸素関連指標に焦点を当て解析した。ラットを2群に分け、1群には15分間から漸増し60分間、週5回、10週間、体重の5%に当たる錘を付け、水泳を行わせた。6週まではすべてのラットが錘を付けて泳ぐことができたが、7週目からは、約半数が錘を付けて泳ぐことが出来なかったため、半数は錘を外して泳ぐことにした。他群には水泳を行なわせなかった。自由摂食、自由摂水とし、水温は33℃に設定した。10週間の水泳、あるいは飼育後、各群半数のラットには、活性酸素を発生し腎がんを誘発する鉄ニトリロ三酢酸(Fe-NTA)を、残りのラットには等量の生理食塩水を腹腔内に投与し、1時間後にと殺した。そしてラットの横隔膜並びに腎のSOD活性、腎のcatalase並びにGSH peroxidase活性、腎8-hydroxydeoxyguanosine(80HdG)、腎OGG1蛋白量を測定し、習慣的な運動が酸化ストレス指標に与える影響を解析した。その結果、運動群では横隔膜SOD活性が有意に増加しており、十分な運動量がラットに負荷されたことが示唆された。生理食塩水投与群では運動群と非運動群間の80HdG値に差がなかった。FeNTA投与により、両群とも腎80HdGは有意に増加したが、運動群では非運動群に比べ80HdG値が有意に低かった。更に、FeNTA投与ラットの腎80HdG値は、運動強度と負の相関を示した。一方運動群では腎SOD活性が有意に上昇していたが、catalase並びにGSH peroxidase活性には差を認めなかった。腎におけるOGG1蛋白量は、運動群で有意に低値を示した。これらの結果から、習慣的な運動を行っても酸化的DNA損傷は増加しないこと、習慣的運動を行うことにより、酸化ストレスが負荷されたときに誘発される損傷が抑制されることが示された。習慣的な運動を行うことにより、酸化ストレス耐性が増し、多くの活性酸素が関連疾患の予防に有効であると考えられた。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (6件)
Current Topics in Biotechnology (in press)
Free Radical Research (in press)
Cancer Science 96
ページ: 13-18
Biol.Pharm.Bull. (in press)
Environ.Health Prev.Med. 9
ページ: 9-12
Immunology Letters. 95
ページ: 233-236