研究課題
基盤研究(B)
本研究では、運動の健康影響を、活性酸素に焦点を絞り、解析した。ヒト並びにラットを対象とした実験研究を行った。ヒトを対象とした研究では、嫌気運動あるいは好気運動という、運動の種類が、生体にどのような影響を及ぼすかを検討した。インフォームド・コンセントを得たのち、体育系の大学院生を2群に分け、嫌気運動と好気運動を、自転車エルゴメーターで負荷し、血液・尿の活性酸素関連指標の変化を検討した。負荷運動量は両群で同じとした。運動時の酸素摂取量は、好気群が嫌気群の約2.7倍であった。しかし運動直後の酸化的損傷はいずれの群でも増加しなかった。嫌気群では、運動3及び9時間後の尿酸、並びに運動24時間後の酸化的DNA損傷が増加した。好気運動ではそのような変化は観察されなかった。これらの結果から、酸素摂取量の増加が直ちに酸化的損傷を誘発するのではないこと、同じ運動量の運動でも、運動の種類により生体影響が異なること、本研究で負荷した好気運動では、酸化的損傷が誘発されないことが明らかとなった。ヒトを対象とした実験研究では、個々人の日頃の運動量の影響が出現する、負荷運動量が限られる、長期間の研究では、多大な拘束を課すため、長期間の運動実験はラットを対象に行った。本実験研究では、長期間の習慣的運動が活性酸素関連指標にどのような影響を及ぼすかを検討した。ヒトを対象とした実験研究で好気運動が望ましいという結果が得られたため、ラットに好気運動である水泳を課した。水泳時間は15分から漸増し60分とし、週5回、10週間・半数のラットにはより多くの運動量を課すため体重の5%に当たる錘を前胸部に装着した。習慣的運動は、酸化的損傷を誘発しなかった。さらに抗酸化酵素を誘導し、酸化ストレスの影響を緩和する結果が得られた。本研究結果から、習慣的運動は酸化ストレス耐性を増強させ、活性酸素関連疾病を予防する可能性が示唆された。
すべて 2005 2004 2003 2002
すべて 雑誌論文 (18件) 図書 (1件)
Free Radical Research (in press)
Cancer Science 96
ページ: 13-18
Biol.Pharm.Bull. 28
ページ: 419-423
Current Topics in Biotechnology (in press)
Immunology Letters 95
ページ: 233-236
Environ.Health Prev.Med. 9
ページ: 9-12
Biochem.Biophys.Res.Commun. 304
ページ: 619-624
Int.Immunopharmacol. 3
ページ: 927-938
J Exp Med. 197
ページ: 1255-1267
J.Gastroenterol.Hepatol. 18
ページ: 1384-1391
Jpn.J.Cancer Res. 92
ページ: 247-252
Biochem.Biophys.Res.Commun. 297
ページ: 1238-1244
Immunology Letters 84
ページ: 49-55
Int.Immunopharmacol. 2
ページ: 1205-1211