研究課題/領域番号 |
14370144
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
廣田 良夫 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20080624)
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研究分担者 |
岡田 三津子 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (20347496)
田中 隆 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (30227144)
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キーワード | インフルエンザ / 予防接種 / ワクチン / 乳幼児 / 抗体応答 / 赤血球凝集抑制抗体 |
研究概要 |
乳児院の入所者を対象に、ワクチン接種による抗体応答とインフルエンザ様疾患の発病リスクを調べた。 【対象とワクチン接種】市販インフルエンザHAワクチンを51人に接種した。 【血清学的検索】接種前、2回目接種時(1回目接種の約4週後)、2回目接種の約4週後、計3回採血した。これらの血清について、ワクチン株に対するHI坑体価を測定した。 【発病調査】有症者について発熱状況を調査した。さらに一部迅速診断キットの適用およびウイルス分離を行った。 【解析】HI価と発病リスクの関連を検討するため、logistic regression modelによりオッズ比(OR)および95%信頼区間を計算した。 【結果】 (1)この集団のインフルエンザ流行前(ワクチン接種後約4週)のAH3型抗体保有状況は、HI価の幾何平均値が1:200以上であり、1:40以上の抗体保有率は80%強であった。 (2)2003年1月末から約10日間にわたり、発熱者を認め、一部迅速診断キットの適用、ウイルス分離の結果、AH3型の感染が確認された。 (3)この期間のHI価と最高体温の間に相関を認めた(r=-0.42、p=0.002)。即ち、HI価が高いと流行期の発熱が低い。 (4)38℃以上の発熱を目的変数とし、流行前のHI価、年齢を説明変数として解析した。単変量解析では抗体価く1:40に対し、1:40〜160ではOR=0.22(p=0.164)、1:320以上でOR=0.07(p=0.009)となり、HI価の上昇に伴い発病リスクが低下した。年齢の上昇に伴いORの低下傾向も認めた。 (5)多変量解析における年齢調整ORは、1:40〜160ではOR=0.29(p=0.347)、1:320以上でOR=0.11(p=0.048)となり、抗体価と発病リスクは明らかに負の関連を示した。
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