研究概要 |
【免疫学的研究】 (1)2002/03シーズン・ワクチンによる抗体誘導は、A/New Caledonia (H1)とA/Panama (H3)では良好であったが、B/Shangdongでは低値であった。 (2)A/Panama (H3)に対する流行前HI価と感染リスクは、負の関連を示した。 (3)発病リスクは、流行前HI価1:40未満に比べて1:40・160で1/3以下に、1:320以上では約1/10に低下した。 (4)2003/04シーズンのワクチン株A/Panama (H3)はdrift株A/Wyoming (H3)に対する交差抗体を誘導した。 【臨床疫学的研究】 (5)感染(HI価4倍以上上昇)の「あり/なし」をgold standardとした場合、「最高体温≧38℃」という疾病定義の感度は65〜70%、特異度は90〜95%であった。 (6)岩手では、インフルエンザ様疾患に対するワクチン接種の調整オッズ比(OR)は0.70(95%CI:0.46・1.08,P=0.108)であった。福岡では0.93(0.63・1.38,P=0.724)であった。 【発病防止効果のメタアナリシス】 (7)本研究結果と他報告の結果をプールし、7地域・3シーズンのデータを用いてメタアナリシスを行った。要約ORは、0.76(0.69・0.83、P=0.000)であり安定した数値となった。 (8)1歳階級毎の解析を行ったところ、1歳以上の5階級の要約ORは0.64〜0.88と総て1未満であり、うち4階級で有意差あるいは境界域の有意差を認めた。一方、1歳未満の要約ORは1.30(0.82・2.05、P=0.267)であった。 (9)インフルエンザワクチンは乳幼児において発病リスクを3/4程度に減少させる。但し、1歳未満児での有効性は明らかでなかった。
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