研究概要 |
眼圧の労働衛生学的研究は申請者が産医研で行なった最初のテーマで、H市と近郊の地域を調べた。 結果の概要として、1709名についての眼圧は12.5±2.9mmHg(最低3回の測定の平均)であった。裸眼視力は0.24±0.20、矯正視力は訴えを有する者は0.39±0.25で、収縮期血圧は134±22、拡張期血圧は72±12mmHgであった。P<0.001である関係(以下それぞれ順にPearsonの分布、n)は、たとえば年齢と矯正視力(-0.069^<**>,3306)、収縮期血圧と眼圧(0.177^<**>,3292)、屈折異常と眼圧(-0.118^<**>,2674)などに認められた。 男女差、屈折矯正変化、等価球面度数との関係(たとえば屈折は男-0.72±3.30,女-0.73±3.40)も解析した。本研究は、平成16年3月末現在までの集計である。 さらに高眼圧予防として、3家系について遺伝子研究と薬理実験をおこなった。なお本研究は申請者がすでに申請中の国際用途特許とは全く別である。視力、視野、眼圧測定については、工場や会社で時間的迷惑をかけないシステムを準備できた。全身と眼の関係については解析中である。上強膜静脈圧、涙液蒸発量、前眼部血液流量などは機器がなく、この点の測定はできていない。本視覚研究に参加する研究補助員については、当研究所の方針により委託業務をおこなった。 本研究は、講師と助教授を経験した2名の医師自らが現場にたちあって得られた統計であり、義務的な研究や単なる産業医の参加記録ではない。そのため、産業、職場でのストレス度、目の健康については、よせ集めではなく、同じ視点からの濃厚なデータである。今後ともに、当研究所だけでは労働衛生学上の視覚研究は困難なので、関東地区、中国地方、米国とのネットシステムを構築した。作業関連感覚器疾患や生活習慣病などの臨床との兼ね合いや日内変動、季節変動、性差や職域の視機能に関する生活調査は、労働衛生学的意義が高く、未知の分野を報告書にまとめた(以上744字)。
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