研究概要 |
当法医学教室での解剖事例中、原因不明の突然死の事例は年間2〜3件程度にすぎない。しかし、大阪府や兵庫県の監察医事務所においてはかなりの数の事例があるものと考えられ、倫理委員会が設置され、そこでの試料収集が可能となれば、本研究のための試料収集も可能であろうと考えられた。ところが、現時点においては我々の再三の要望にもかかわらず、いずれにおいても倫理委員会設立の見込みはなく、試料の収集は不可能である。したがって、突然死遺体からの試料収集はかなり難しいと判断し、突然死に至る可能性のある、致死性不整脈症候群患者より試料の提供をうけ、致死性不整脈症候群の病因遺伝子およびその症状を発症しやすくする感受性遺伝子の検索を行うこととし、現在その試料を収集中である。 一方、これまでに我々が確立してきたHLA領域全体にわたるSNPsタイピングおよびKIR遺伝子多型を用いた多因子疾患感受性遺伝子の検索については下記の結果を得た。 1)スギ花粉症患者群131名、慢性関節リウマチ(RA)患者群92名、口唇口蓋裂患者群70名および健常対照群180名の試料につき、HLA領域の165 SNPsタイピング、KIR遺伝子およびハプロタイプタイピングおよびHLA-A,-B,-DR型タイピングを行った。 2)花粉症においてはHLA-Aと-c遺伝子近辺のSNPsと相関がみられ、RAではHLA-DR近辺のSNPと強い相関が見られ、口唇口蓋裂ではHLA-BとMICA近辺に強い相関が見られた。
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