研究概要 |
今年度の研究実施計画に従って,(1)OCME (Office of the Chief Medical Examiner), Edmonton, Alberta Department of JusticeのDr G.Jonesを訪問して話し合い,連合王国およびアメリカ合衆国の研究室訪問の成果をより具体的なものにするとともに,その成果をまとめた.(2)全研究者が同一試験試料を検査した結果をまとめ,実力試験(Proficiency Testing)を実施する上での問題点を提示した.(3)欧米の法中毒学実務に関する参考資料を調査・研究し,法中毒研究室ガイドラインおよび法中毒研究室認定計画についてまとめを行うとともに,参考資料を翻訳し,研究成果報告書(冊子)に添付した.(4)欧米の参考資料をもとに,各研究者が所属教室に実情に即した標準操作手順(Standard Operating Procedure)マニュアルおよび種々の文書/書式を作成した.(5)上記の研究成果をもとにして,我が国の法中毒学実務の問題点を提示するとともに,我が国の法中毒学実務を改革する方策:検査研究室に対してはSOPマニュアルの作成・整備,履行したことすべての文書化,分析法および各検査のバリデーション,および容認基準を逸脱した検査の修正作業;外部機関に検査を依頼する研究室に対しては検査受託研究室の使命/目的および能力のチェック,検査受託機関の指示書に従って検査試料の真正(Identification),完全さ(Integrity)およびChain-of-Custodyの維持;行政に対しては,市・私立大学法医学教室は紛れもなく鑑定機関であることの認識,鑑定のための薬物標準品を容易に入手できる施策を講じること,司法(あるいは行政)解剖に関わる鑑定に対して,解剖に関わる必要経費(解剖に付随する科学検査を含む)および鑑定料として相当の代価を支払うこと;法医学教室(組織)に対しては組織を変革する検討を提言した.
|