研究概要 |
#1 B細胞の抑制型受容体であるCD72遺伝子をリウマチ性疾患感受性候補遺伝子として多型スクリーニングと関連解析を施行した結果、第8イントロンの13塩基の反復配列と4塩基欠失を含む4個所の多型部位からなる2種の主要ハプロタイプが見出された。また、選択的スプライシングの結果、細胞外領域の約40アミノ酸が変化する新規のアイソフォームが見出され、その産生量は、上記のハプロタイプ型により制御されることが見出された。新規アイソフォームの増加に関連するハプロタイプは、全身性エリテマトーデス(SLE)における腎症合併に対し抵抗性に働くとともに、同様にB細胞の抑制型受容体であり、われわれが過去にSLEとの関連を報告したFcγ受容体IIb(FCGR2B)-232Thr多型のSLE発症リスクを、遺伝子間相互作用により有意に減少させることが見出された。さらに、ミニジーン・アッセイにより、CD72第8イントロンに存在する13塩基の反復配列と4塩基欠失のいずれもが、スプライシング効率に関与することが見出された。 #2 昨年度までに、転写制御因子Id1,Id3が関節リウマチ滑膜組織内の血管内皮細胞に強発現すること、また、Id1,Id3の強制発現により、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の増殖、活性化、血管新生を誘導しうることを報告した。今回、RNAiを用いてHUVECのId1,Id3発現を抑制したところ、VEGF誘導性のHUVEC増殖、活性化、血管新生がほぼ完全に抑制された。このことから、IdがVEGF誘導性HUVEC活性化、血管新生に必須の因子であることが示され、将来的な抗血管新生療法の標的となりうることが示唆された。 #3 B細胞の活性化型シグナル伝達分子であるCD19のプロモーター多型が、CD19発現亢進とともに、強皮症の感受性と関連することを見出した。
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