研究概要 |
1.FCGR2Bに新たな多型Ile232Thrを見出し、アジア集団において全身性エリテマトーデス(SLE)と関連することを見出した。機能解析の結果、SLE関連232Thrアリル産物は、膜脂質ラフトへのFcγRIIb蛋白の局在とリン酸化の低下、B細胞の活性化、生存シグナルの増強と関連することを見出した。 2.CD72に2種の主要ハプロタイプが存在すること、選択的スプライシングの結果、細胞外領域を大きく変換する新規アイソフォームの産生量と関連すること、このハプロタイプが、SLEにおける腎症合併に対し抵抗性に働くとともに、FCGR2B-232Thr多型のSLE発症リスクを、遺伝子間相互作用により有意に減少させることを見出した。 3 CD19プロモーター多型が、CD19発現亢進と強皮症に対する感受性と関連することを見出した。 4.BLyS(BAFF),APRILとその受容体群(BAFF-R,TACI,BCMA)に多数の多型を見出すとともに、APRIL多型とSLEとの関連を確認した。 5.NKG2C欠失ハプロタイプが日本人一般集団で20.2%、オランダ人で20.0%、ホモ欠失者は、それぞれ4.1%,3.8%の頻度で存在することを見出した。 6.LILRB1(ILT2,LIR1)遺伝子に多数の多型部位の存在を見出すとともに、HLA-DRB1 shared epitope陰性群において、関節リウマチ(RA)と関連することを見出した。 7.日本人顕微鏡的多発血管炎において、HLA-DRB1^*0901-DQB1^*0303ハプロタイプ、KIR遺伝子型との関連を見出した。 8.RA滑膜組織の遺伝子発現解析から血管内皮細胞にId遺伝子の過剰発現を見出した。IdはVEGF誘導性血管内皮細胞活性化、血管新生に必須の因子であり、抗血管新生療法の標的となりうることを見出した。
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