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2002 年度 実績報告書

IL-6シグナル制御による慢性関節リウマチの分子・遺伝子治療の研究

研究課題

研究課題/領域番号 14370163
研究機関大阪大学

研究代表者

西本 憲弘  大阪大学, 健康体育部, 助教授 (80273663)

研究分担者 杉村 和久  鹿児島大学, 工学部, 教授 (80127240)
吉崎 和幸  大阪大学, 健康体育部, 教授 (90144485)
キーワード関節リウマチ / インターロイキン6(IL-6) / ヒト化抗IL-6レセプター抗体 / 血管内皮増殖因子(VEGF) / アデノウイルスベクター / SSI-1 / SOCS-1 / 負の調節因子
研究概要

インターロイキン6(IL-6)は関節リウマチ(RA)の病態形成にかかわっている。これまでにヒト化抗IL-6レセプター(IL-6R)抗体によるIL-6シグナルの阻害がRAの症状を改善し、RAの新しい治療法になり得ることが、臨床第2相試験にて明らかになった。しかし、IL-6阻害がどのような機序にて効果を発揮するのか未だに不明な点が多い。RAの滑膜増殖に血管新生は不可欠である。今回、血管新生に最も中心的な役割を有する血管内皮増殖因子(VEGF)の産生に対する炎症性サイトカインによる調節機序を明らかにした。VEGF産生に対するIL-6、IL-1、TNFαの単独作用はきわめて弱いがIL-6とTNFα、IL-6とIL-1の間に強い相乗効果がある。しかしIL-1とTNFαの間には相乗効果はない。すなわちVEGF産生においてIL-6は両方のサイトカインに絡むpivotalな分子である。生体内にはこれらの3つのサイトカインが存在するため、IL-6の阻害が最も効率良くVEGF産生を抑制する。実際、in vitroで、抗TNFα抗体、IL-1レセプターアンタゴニストは滑膜細胞からのVEGF産生を抑制しなかったが、抗IL-6R抗体はVEGF産生を抑制した。また、in vivoにおいて、抗IL-6R抗体治療により患者の血中VEGFが正常化した。同様の機序はマトリックス分解酵素産生においても認められ、サイトカインの相互作用の重要性がクローズアップされた。
一方、新たなIL-6シグナルの阻害法として、RGDモチーフを発現させ、native tropismを修飾した非増殖型アデノウイルスベクターを用い、IL-6細胞内シグナルの負の調節因子であるSSI-1/SOCS-1の遺伝子導入法を確立した。この方法により、従来のアデノウイルスベクターでは導入困難であったリンパ球系の細胞にも効率良く遺伝子導入が可能となった。また、SSI-1/SOCS-1分子の導入により、STAT3のリン酸化を抑え、IL-6依存性細胞の増殖を阻害することができた。今後、マウス関節炎モデルでの検討を行う予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Okazaki M, et al.: "Characterization of anti-mouse Il-6 receptor antibody"Immunol. Lett.. 84. 231-240 (2002)

  • [文献書誌] Mihara M, et al.: "Influences of Anti-mouse IL-6 receptor antibody on immune responses in mice"Immunol. Lett.. 84. 223-229 (2002)

  • [文献書誌] Choy EH, et al.: "Therapeutic benefit of blocking interleukin-6 activity with an anti-interleukin 6 receptor monoclonal antibody in rheumatoid arthritis : a randomized, double-blind, placebo-controlled, dose-escalation trial"Arthritis Rheum. 46. 3143-3150 (2002)

  • [文献書誌] Iwamoto M, et al.: "Humanized monoclonal anti-interleukin 6 receptor antibody for treatment of intractable adult-onset Still's disease"Arthritis Rheum. 46. 3388-3389 (2002)

  • [文献書誌] Nishimoto N, et al.: "Toxicity, pharmacokinetics, and dose finding study of repetitive treatment with humanized anti-interleukin 6 receptor antibody, MRA, in rheumatoid arthritis ; a phase I/II clinical study of MRA for rheumaoid arthritis in Japan"J. Rheum. (in press). (2003)

  • [文献書誌] Nakahara H, et al.: "Anti-interleukin-6 receptor antibody therapy reduces vascular endotherial growth factor(VEGF)production in rheumatoid arthritis"Arthritis Rheum. (in press). (2003)

  • [文献書誌] Nishimoto N, et al.: "Targetted therapy in rheumatology"Martin Duniz, London. 10 (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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