慢性関節リウマチ及びマウス関節炎モデルにおけるPD-1/PDリガンドの関与の研究

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14370164
• 研究機関: 神戸大学
• 研究代表者: 熊谷 俊一 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00153346)
• 研究分担者: 本庶 佑 京都大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80090504) ; 佐浦 隆一 神戸大学, 医学部, 助教授 (10252769) ; 小柴 賢洋 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (70301827)
• キーワード: PD-1 / PDリガンド / 関節リウマチ / 共刺激分子 / 滑膜細胞 / 関節液 / 関節組織 / コラーゲン誘導関節炎

研究概要

我々が発見した抑制的共刺激分子PD-1/PDリガンド(PD-L)について、(1)このシステムの異常がヒト関節リウマチ(RA)で存在するか、(2)PD-1/PD-Lシステムに異常を起こすとRA様の関節炎が起こるか、を明らかにすることを目的として研究を行い、現在までの実績は以下のとおりである。
1)RA患者関節液のCD4陽性T細胞にはPD-1陽性細胞が含まれていたが、末梢血やOA患者関節液には陽性細胞はほとんど無かった、このPD-1陽性T細胞はCTLA-4を発現しており、細胞内サイトカイン染色でIL-10を産生することから、何らかの抑制性機能を保有すると考えられる(論文印刷中)。
2)培養滑膜細胞をIFN-γなどで刺激してもB7など他の共刺激分子の発現は認めないのに比し、PD-Lは刺激に応じて強発現することを発見した。関節組織においても浸潤リンパ球にPD-1が発現していた。現在PD-Lについては、組織染色に適した抗体を作成スクリーニング中である。
3)Balb/cマウスとB6マウスを用いて、タイプIIコラーゲン誘導関節炎(CIA)やコラーゲン抗体カクテルによる関節炎の発症実験を行っている。安定して発症すれば、PD-1/PD-Lのmanipulationにより制御されるかを検討する。PD-1ノックアウトマウス(関節炎自然発症)を安定して増やして、ClAの増悪/重症化を認めるかを調べる。

研究成果

• [文献書誌] Takumi Jikimoto: "Thioredoxin as a biomarker for oxidative stress in patients with rheumatoid arthritis"Mol Immunol. 38. 765-772 (2002)
• [文献書誌] Katsuyasu Saigo: "Fluctuations in plasma macrophage colony-stimulating factor levels during autologous peripheral blood stem cell transplantation for haematologic discases"Clin Lab Haem. 24. 37-42 (2002)
• [文献書誌] Jun Saegusa: "Oxidative stress mediates cell surface expression of SS-A/Ro antigen on keratinocytes"Free Rad Biol Med. 32(10). 1006-1016 (2002)
• [文献書誌] Masahiro Koshiba: "2-Chloroadenosine but not adenosine induces apoptosis in rheumatoid fibroblasts independently of cell surface adenosine receptor signalling"Brit J Pharmacol. 135. 1477-1486 (2002)
• [文献書誌] Katsuyasu Saigo: "Estimation of Hematopoietic Stem Cells by automated hematology Analyzers (Review article)"Lab Med Int. 19(2). 14-16 (2002)
• [文献書誌] Sugayo Kanagawa: "Association of the TAP2^*Bky2 allele with presence of SS-A/Ro and other autoantibodies in Japanese patients with systemic lupus erythematosus"Lupus. (in press).
• [文献書誌] Yuji Nakamachi: "Specific increase in enzymatic activity of adenosine deaminase 1 in rheumatoid synovial fobroblast"Arthritis Rheum. (in press).
• [文献書誌] Saori Hatachi: "CD4^+PD-1^+ T Cells Accumulate as Unique Anergic Cells in Synovial Fluid from Rheumatoid Arthritis Patients"J Rhumatol. (in press).
• [文献書誌] 中村知子: "ステロイド骨粗鬆症における腰椎骨密度の維持・増加にはエチドロネート400mg投与が有効である"リウマチ. 42. 666-675 (2002)
• [文献書誌] 熊谷俊一: "酸化ストレスと自己免疫"臨床病理. 51(2). 126-132 (2002)
• [文献書誌] 〓智さおり: "自己抗体と自己免疫'02.第9回自己抗体と自己免疫シンポジウム講演録集"医学生物学研究所. 7 (2002)