研究概要 |
1.CD40リガンドの測定系(ELISA, FACS)を用いて患者血中に存在するCD40リガンドを定量した。その結果、従来明らかになっていたSLE, RAの他に川崎病の急性時の患者血清で可溶化体が、血小板上で膜型CD40リガンドの発現を確認した。健常人ではそれらの有為な発現は認められなかった。 2.可溶化CD40リガンドの産生機構を解明と制御薬物の探索。TNF、Fasリガンドの膜発現型から可溶化体産生過程に係わるMMPの機能を明らかにするためにCD40リガンド遺伝子導入細胞を作成した。このトランスフェクタントは恒常的にCD40リガンドを膜状に発現するとともに可溶化体も培養上清中に大量に産生する。この細胞をMMP阻害剤とともに培養した結果、可溶化CD40リガンドの産生が有為に抑制された。次にTNFの産生を阻害することで知られているサリドマイド誘導体のCD40リガンド産生に及ぼす影響を検討した。健常人T細胞を抗CD3抗体+抗CD28抗体で刺激活性化し18時間後のCD40リガンドの発現をFACSにて測定した結果、数種のサリドマイド誘導体(フタルイミド誘導体)が低濃度(<1μM)で活性化T細胞上のCD40リガンドの発現を完全に阻害した。以上の結果よりCD40リガンドはサリドマイド誘導剤で発現が阻害されること、膜型はMMP依存的に切断されることが明らかとなった。 3.CD40リガンドの生物活性を炎症性サイトカイン・血管新生因子の産生増強の観点から検討した。CD40発現陽性である単球由来細胞株(THP-1)、上皮性細胞株(OSC-70)からの血管新生促進因子の発現変化をELISA法により測定した結果、CD40リガンド刺激によりVEGFの産生が促進されることが明らかとなった。
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