研究課題
基盤研究(B)
ヘリコバクター・ピロリ菌由来病原因子CagAは、胃上皮細胞内に注入されチロシンリン酸化を受ける。リン酸化CagAはSHP-2と結合し細胞内シグナル伝達系を撹乱する。CagAのリン酸化部位となるEPIYAモチーフはその数ならびに周辺アミノ酸配列が単離されるピロリ菌菌株ごとに異なるという特徴を示す。西欧分離株に由来するCagAはEPIYAモチーフを含む34アミノ酸からなる「繰り返し配列」を0-4回有し、そのチロシンリン酸化レベル、SHP-2結合能ならびに増殖因子様活性は「繰り返し配列」の数に依存した。一方、日本など東アジアで単離されるピロリ菌菌株由来CagAは西洋型とは異なる周辺アミノ酸を持つ単一のEPIYAモチーフがチロシンリン酸化部位となる。東アジア型CagAは西洋型CagAに比べ高親和性SHP-2結合能を示し、より強い細胞増殖因子様活性を保持していた。このCagA活性の違いが東アジア諸国における胃癌多発の一因となっている可能性が示唆された。胃癌発症には、複数の細胞内癌遺伝子、癌抑制遺伝子の遺伝的変化が不可欠と考えられ、中でもSHP-2の下流標的のひとつであるRasは胃癌を含む多数のヒト癌での異常活性化が知られている。我々は、新規ホメオドメイン蛋白として単離したESXR1がヒト癌で最も高頻度に機能獲得型変異が認められるk-ras遺伝子の転写活性化を特異的に抑制することを見い出した。ESXR1の異所性発現によりk-ras変異をもつヒト癌の増殖が強く抑制されることが明らかになった。変異型Rasの持続的活性化は癌細胞の形質維持に必須であり、ESXR1を用いたRasの不活化を標的とする分子標的治療は癌治療に革命的な進展をもたらすことが考えられる。
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