研究課題
基盤研究(B)
ビリルビンを抱合するbilirubin UDP-glucronosyltransferase (UGT1A1)の日本人における遺伝子多型は蛋白コード領域でもみられ、欧米の報告とは異なっていた。UGT1A1のタンパクコード領域における多型パターンと血清ビリルビン値は相関が認められた。新たなUGT1A1遺伝子多型(P364L)を発見し、この時のUGT1A1の酵素活性は正常よりも64.4%低下する事を明らかにした。有機アニオントランスポーターの一つであるmultidrug resistance-associated protein 2 (mrp2)の発現が欠損したEisai hyperbilirubinuria rat (EHBR)およびugt1a1活性が欠損したGunn ratの肝細胞においては、有機アニオンを類洞血液中に排泄するmrp3の発現が増加し、有機アニオンを肝細胞内に取り込むorganic anion transporting polypeptide (oatp)の発現は減少していた。さらにEHBRおよびGunn ratの腎臓においてもmrp3の発現の増加が見られることを明らかにした。Full length human MRP2遺伝子をクローニングし、哺乳動物細胞発現ベクター(pDEST-MRP2)を構築した。pDEST-MRP2を培養細胞(IEC-6)へ導入し、MRP2の蛋白が発現することを確認した。さらにEHBRの肝臓にpDEST-MRP2のin vivo遺伝子導入を行い、血中抱合ビリルビン値の低下を認め、oatp1,oatp2およびmrp3発現の正常化を確認した。また、マウス胎生幹細胞にhepatocyte nuclear facto-3β (HNF3β)を導入することによりmrp1,mrp2,mrp3およびugt1a1のmRNAおよび蛋白質が発現する事を明らかにし、HNF3β導入による胎生幹細胞から肝細胞への分化することを証明した。
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