研究課題/領域番号 |
14370189
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
高木 都 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00033358)
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研究分担者 |
門脇 真 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (20305709)
福井 博 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (80145838)
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キーワード | ペースメーカー細胞 / カハールの間質細胞 / Caチャネル / ミトコンドリア / 筋小胞体 / リアノジン受容体 / IP_3受容体 / 自動運動 |
研究概要 |
病態消化管モデルにおける自動運動の発生機序(ペースメーカー機構)を解明するために、まず正常消化管におけるペースメーカー機構の解明を多方面から解析した。(1)まず、マウス近側結腸における粘膜下に存在するペースメーカー細胞(カハールの間質細胞:ICC-SM)の役割を、直接ペースメーカー電位の記録をして検討した。その結果、ICC-SMは近側結腸の縦走筋や輪走筋における蠕動様の運動には関与しないことがわかった。そこで、(2)さらにその役割を明らかにするために、縦走筋や輸走筋の収縮とICC-SMとペースメーカー電位の同時記録に挑戦し、成功した。その結果、 ICC-SMのペースメーカー電位は逆蠕動を駆動していると考えられた。また、ICC-SMのペースメーカー電位は、主として細胞内のカルシウムハンドリングによって発生し、制御を受けていることがわかった(3)筋層間のカハールの間質細胞ネットワーク(ICC-MY)が遺伝的に欠損しているミュータントマウスの結果から、消化管壁に複数存在するカハールの間質細胞のネットワークはお互いに代償し合って機能すること、また壁内神経系がその代償機転に重要な働きをなしていることがわかった。さらに、(4)胚性幹細胞から胚様体を作り、消化管様の細胞塊(ES-gut)を分化させ、その自動能とカハールの間質細胞の分化度やギャップジャンクションの分化度について能動的に調べた。その結果、3週間の付着培養をした ES-gutではカハールの間質細胞のネットワークやギャップジャンクションがよく分化し、そのようなES-gutでは蠕動様の運動を14-5回/分程度の頻数で起こすことがわかった。以上の結果から消化管の自動運動にはカハールの間質細胞が重要な働きを果たすことが明らかになった。今後炎症性腸疾患モデルでどのような変化が起こっているかを解明する必要がある。
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