研究概要 |
遺伝子解析に関するインフォームドコンセントを得たC型慢性肝炎22例を対象とした。全例が40歳以上でIFN治療歴はなく,2年以上にわたって肝機能検査値が観察されていた。このうち11例では血清ALT値が80 IU/L以上の時期が認められた(高活動性群:H)。他の11例は肝庇護薬の投与なしに,40 IU/L未満を持続していた(低活動性群:L)。年齢はH群(64±7)がL群(55±9)に比して高かったが,性別(男/女:H群=8/3,L群=4/7),HCV genotype(1b/2a+2b:H群=7/3,L群=6/3)には差を認めなかった。 これら症例の末梢血から,DNAを抽出し,osteopontin exon 1 領域の-638及び-27位から20bpのprimerを設定して,612bpのDNAを増幅し,direct sequencing法で塩基配列を決定した。-155,-443及び-616位の3か所にSNPが認められた。-155位はGホモ,G/GGヘテロ,GGホモ,-443位はTTホモ,TCヘテロ,CCホモ,-616位はGGホモとTTホモが混在していた。-155位のGホモおよびGGホモは,夫々-616位のGGホモ及びTTホモと同調していた。-155位のSNPは,H群はGホモ,G/GGヘテロ及びGGホモの症例数が5,4,2例,L群が8,3,0例で差がなく,これと同調する-616位のSNPも差異は認められなかった。一方,-443位に関しては,TTホモ,TCヘテロ,CCホモの症例数がH群6,3,2例,L群1,9,1であり,TTホモとそれ以外の症例数を比較すると,H群は6:5,L群は1:10で,L群でTTホモの頻度が低い傾向が見られた。以上より,-443位のSNPは,C型慢性肝疾患の活動性を規定する要因である可能性があり,症例数を増加してその意義を検討中である。
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