研究概要 |
ヒトosteopontin遺伝子promoter領域の塩基配列を解析することで,nt-155,-443,-616,-1,748の4ヶ所にSNPsを見出した。これらのうち,nt-443のSNPはC型慢性肝炎における肝炎活動性を規定していると推定され,無治療で血清ALT値が2年以上にわたって正常範囲内の患者は,そのalleleが88%はC/TないしC/Cであり,異常値を示す患者に比して有意に高率であった。また,インターフェロン単独療法ないしリバビリンとの併用療法を実施したC型慢性肝炎患者ではまた,nt-443がT/Tの症例はSVR率が86%であり,C/T,C/Cの症例における53%より有意に高率であった。従って,同SNPのalleleがC/TないしC/Tの患者ではHCVに対するTh1免疫応答が軽微である可能性が推定された。この仮説を検証するために,自己免疫性肝疾患で同SNPを検索したところ,自己免疫性肝炎ではCTの頻度が29%であり,原発性胆汁性肝硬変(53%)やC型慢性肝炎(51%)に比して優立に低率であった。また,nt-616のSNPに関しても,自己免疫性肝炎ではG/Tの頻度が14%であり,原発性胆汁性肝硬変(42%),C型慢性肝炎(40%)に比して低率であった。以上より,nt-443のSNPのみならず,連鎖不平衡を呈する他の3SNPsもTh1免疫応答の決定する要因である可能性が明らかになった。
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