研究概要 |
抗菌蛋白は自然免疫の重要な一員である。ElafinとSLPIはwhey acidic protein (WAP)モチーフを有する抗菌蛋白であり、同時に抗プロテアーゼでもある。これらの蛋白の自然免疫における役割は、現在盛んに研究されている。我々は、2種類のWAPモチーフ蛋白をマウスよりクローニングし、(SWAM1,SWAM2 (ELM1,ELM2から改名)と命名した。SWAM1,SWAM2ともただ一つのWAPモチーフからなっている蛋白で、ヒトElafin、SLPIと高い類似性を有していた。SWAM1は腎臓、子宮、卵巣で発現しており、SWAM2は精巣上体で発現している。SWAM1,SWAM2とも大腸菌、黄色ブドウ球菌の発育を阻害し、そのIC90は10μMであつた。類似性検索の結果、SWAM2のヒト相同遺伝子と思われるものは、ヒト遺伝子dJ211D12.4であり、染色体20番に存在している。 dJ211D12.4の存在部位の近傍にはElafin、SLPIが存在し、WAPモチーフ蛋白のクラスターを作っている部分であり、SWAM1、WAM2がElafin、SLPIと同一の遺伝子から遺伝子重複の結果できた可能性を示唆している。ヒト染色体20番はマウス染色体2番に相当する。我々の結果は、WAPモチーフが抗菌蛋白の骨格となる重要なモチーフであることを示しており、他のWAPモチーフ蛋白の抗菌活性に関して検討が重要であることを示唆するものである。
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